ラストチャンス 参謀のホテル

ラストチャンス 参謀のホテル

江上 剛

出版社:講談社 出版年月日:2020/04/15

講談社 | 2020/04/15

4.00
本棚登録:7人

みんなの感想

感想

ホテル経営という身近でありながら複雑なテーマを舞台にした作品。エンジニアとして仕事をしていると、組織の立て直しや意思決定の難しさについて考えることがあるんですが、この本はそういった課題が本当にリアルに描かれているなと感じました。 再生請負人の主人公が直面する問題って、システム開発現場で起こることと本質的には変わらないんですよ。既得権益との衝突、組織内の抵抗勢力、外部からの脅威...。ビジネス小説というジャンルだからこそ、そういった要素が緊迫感を持って描かれているのが面白い。 何より、コロナやインバウンド減少といった実際の社会情勢を背景にしているから、読みながら「あ、こういうことって実際あるんだろうな」とついつい納得してしまいます。気軽に読める小説のレベルを超えて、ビジネスパーソンとしての学びもある。仕事で疲れた日の夜も、登場人物の奮闘を応援する気持ちで一気読みしてしまいました。気軽に読める娯楽作としても、ビジネス書的な学びとしても、どちらでも楽しめる良い一冊だと思います。

感想

企業再生ものは好物だが、題材がホテルというのは意外だった。しかし読み始めると、老舗企業が直面する現代的課題がリアルに浮き上がってくる。コロナ禍、インバウンド減少、外資による買収圧力――フリーランスの自分も似た葛藤を感じることがあるだけに、強く引き込まれた。 主人公・樫村が直面する経営判断の厳しさ、創業家とプロ経営陣の軋轢、従業員の抵抗感。こうした現実的な困難が丁寧に描かれており、単なるビジネス小説の枠を超えている。特に印象的だったのは、「おもてなし」という美学と経営効率のせめぎあいだ。これは日本企業全体の課題を象徴していると感じる。 決して簡単にはいかない立て直しの過程が、説得力を持って展開される。完璧な解答を求めるのではなく、現実的な妥協と工夫の積み重ねが描かれる点が好印象だ。小説としても、ビジネス書としても、バランスの取れた良質な作品と言えるだろう。同シリーズの第一弾も読んでみたくなった。

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