天使のナイフ 新装版
講談社 | 2021/08/12
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桧山貴志 4年前妻を殺されてる、カフェの店長 愛美 貴志の娘 祥子 妻 早川みゆき 愛美が通う保育園の先生、祥子の友人 福井健 貴志の店のバイト 仁科歩美 バイト 鈴木裕子 バイト 三枝利幸 警察 長岡 警察 沢村和也 妻を殺した少年、B 早紀 沢村の妹 八木将彦 妻を殺した少年、A 丸山純 妻を殺した少年、C 前田澄子 義母 貫井哲郎 ライター 桜井 沢村が送られた施設の園長 加藤友里 沢村の幼馴染、彼女でもあった 相沢秀樹 弁護士 第一章 カフェの近くで沢村が殺された。祥子は事件の1ヶ月半前に500万引き出していた。なぜ? 祥子は遊ぶ金欲しさに入った当時13歳の沢村らに殺された。 貴志は民事訴訟を起こさず、愛美を育て平穏な日常を取り戻すことを選んでいた。澄子のもとにも刑事がきてた。沢村たちが更生したか知りたいと思う。 第二章 沢村が送られた施設へ。沢村は施設では良い子だった。更生、反省はしたのか。 沢村らが住んでた街へ。なぜ離れた自分の街に来て犯罪をしたのか。沢村らの中学へ。貫井に会う。八木が友人に送った年賀状を見せてもらう。反省はなさそう。 貴志は沢村の仲間、友里らに襲われる。友里から沢村のことを聞く。殺される前に別れを切り出された。本当の贖罪をするからと。沢村は八木を探していた。 八木の家へ。本人は不在。家族も知らないと。 第三章 相沢が貴志のもとへ。八木の家に行ったことを咎める。 加藤と八木のいる店へ。1人で店にはいることに。いなかった。帰る 途中に駅で事故。刑事からそれが丸山だったと聞く。 八木から電話。見せたいものがあると呼び出される。愛美がひきつけを起こし、八木に会えず。八木が殺される。 第四章 三枝は丸山から事件のこと、沢村のことを聞く。 貴志のもとにビデオが届く。少年3人が幼児に悪戯する映像。少年は沢村、八木、丸山。 丸山に話を聞く。撮影者は不明。祥子の事件の前に八木のもとにビデオとともに祥子を殺せと届く。首謀者を探す。祥子の手帳を見る。みゆきの名前がない。なぜ?群馬県に住む小柴晴彦から葬儀の案内の葉書。小柴に会いにいく。小柴の娘が祥子の友達。4歳のときに中学生に殺された。祥子はなぜ高校に入る前に小柴に会いに来たのか。 祥子が中3の時女子少年院で過ごしていたことを知る。祥子とみゆきは高校生に絡まれ、テレクラを使いオヤジ狩りをした。みゆきがそこから逃げようととしたところ、オヤジ狩りの被害者に見つかり、祥子が助けようとしてナイフで刺して死なせてしまう。 第五章 丸山のところに三枝らはいく。長岡が襲われる。 祥子が殺した被害者の遺族のもとへ。子供の病気に対し小柴の名前で1000万の寄付があった。祥子? 丸山から電話。愛美らを人質に立て籠り。 沢村らのビデオを撮ったのは歩美。歩美は祥子が殺した被害者の娘。歩美と丸山は繋がっていた。歩美が裏切り、助かる。 終章 相沢は祥子の幼馴染を殺した少年で、祥子が鑑別所にいったときに祥子に会っていた。祥子は相沢に被害者遺族に謝罪にいくよう言った。応じない相沢を脅迫し500万を得る。歩美の治療費。歩美に祥子の今を匿名で教えたのは相沢。祥子は罪に向き合っていた。
少年犯罪という重いテーマながら、ぐいぐい引き込まれて一気読みしてしまいました。妻を殺された父親の復讐心と、法による救済のない悔しさ。その葛藤が、緻密な構成で描かれています。 教育現場にいると、問題を起こす生徒の背景を考える機会が多いのですが、この作品は加害少年たちの事情にも光を当てながら、同時に被害者の絶望をしっかり描き切っている。どちらかの立場に一方的に寄らず、複雑な現実を問いかけてくる力強さが印象的です。 デビュー作とは思えないほど完成度が高く、テンポも良い。難しい法律問題を扱いながらも、エンタメとしても成立している。学校での教育と法の限界、正義とは何か——そうした大きな問いを、物語を通じて自然に考えさせられます。重厚ながら読みやすく、大人こそ読むべき一冊だと感じました。
少年犯罪を扱った小説というと、どうしても予定調和的な道徳的メッセージに収束してしまうものが多い。だからこそ、この作品がここまで高く評価され続けているのだろう。 桧山貴志という一人の父親の苦悩と怒りを軸に、法という社会システムの不完全性を突き付けてくる。娘の前で妻を奪われ、その犯人たちが法によって罰せられない―この設定だけで既に息が詰まるような緊張感が生まれている。その上で、物語は単純な復讐劇には陥らない。むしろ、登場人物たちが直面する「正義とは何か」という根本的な問いが、最後まで読者の心を揺さぶり続ける。 新装版ということもあり、初出時から現在までの間に積み重ねられた評価の重みを感じながら読むことになる。デビュー作とは思えぬ完成度。慎重に本を選ぶ私としても、これは確実に読む価値がある一冊だ。法律と倫理のはざまで葛藤する人間ドラマとして、極めて優れた傑作である。
法律って本当に難しいなって、この本を読んでしみじみ感じました。少年犯罪という重いテーマなのに、一気読みしてしまうほど引き込まれました。 妻を殺された主人公の気持ちと、法の限界。その間で揺れ動く心理描写がすごく丁寧に描かれていて、単純な「正義vs悪」では済まされない現実が伝わってくる。13歳だという理由だけで罪に問われない仕組みって、実在する制度だから余計に考えさせられます。 デビュー作とは思えないほど完成度が高くて、登場人物たちの感情がリアルに感じられました。重い内容ですが、決して暗くはなくて、人間ドラマとしてもしっかり成立しているのが素晴らしい。法律や正義について深く考えたい人にも、単純にミステリーとして楽しみたい人にもおすすめできます。読み終わった後も、いろいろと考え込んでしまう、そういう良質な一冊です。
このお話は、本当に考えさせられる作品です。少年犯罪という難しいテーマを真摯に扱っており、法律と正義の問題について深く問い直す力があります。 娘さんの目の前で起きた悲劇から4年後の事件へと物語は展開していきますが、その構成がみごとです。被害者家族の苦しみ、加害者の心理、そして社会的な正義と個人的な復讐心の葛藤——これらが複雑に絡み合い、読む者の心に重くのしかかります。 著者の筆力も素晴らしく、登場人物たちの心情が丁寧に描き出されています。読み進めるうちに、善悪の判断がいかに難しいかを痛感させられました。特に「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」というその言葉の重みが、終わった後も心に残り続けます。 文庫のこのサイズで持ち運びやすいのも良いのですが、気軽に読める内容ではありません。むしろ、腰を据えてしっかり読む価値のある一冊です。人生経験を重ねた方こそ味わえる作品だと感じました。ボランティアの仕事をしていると、様々な人間関係や問題に向き合う機会がありますが、そうした経験がこの本の価値をより深く理解させてくれます。
話題になっていたこの作品をようやく手に取りました。正直なところ、ここまで深い問い掛けを投げかけてくる小説だとは予想していませんでした。 法と正義のズレについて、管理職という立場で組織の規則に携わる身として、非常に考えさせられます。少年犯罪という重いテーマを扱いながらも、決して説教的にならず、登場人物たちの葛藤を丁寧に描写している点に引き込まれました。特に主人公の心情描写は秀逸で、親として、そして被害者として揺れ動く心情が生々しく伝わってきます。 デビュー作とは思えないほど完成度の高い構成です。伏線の張り方、物語の進行速度も絶妙で、一気読みさせられました。現在の複雑な社会問題を、小説という形式を通じて深く考える機会をくれる。そういった意味でも、今読むべき一冊だと感じます。管理職として組織の中で判断を迫られることが多い身にとって、この作品が提示する問題系は他人事ではありません。多くの人に読んでほしい傑作です。