署長サスピション
講談社 | 2026/03/18
みんなの感想
新書サイズというお手軽さに惹かれて手に取ってみました。警察ミステリーということで期待値も高めだったのですが、正直なところ、期待と現実にギャップがあったというのが素直な感想です。 怪盗フェイクと警察のキャットアンドマウスゲームという設定は確かに面白いのですが、展開がやや予測可能な印象を受けました。トリックや犯行のロジックについても、新書という限られた紙幅の中で説明しきれていない部分があって、もう少し緻密さが欲しかったところです。 ただし、警察内部の人間関係や組織のあり方をコミカルに描いている部分は読んでいて楽しかったです。仕事で疲れている身としては、そういった肩の力を抜いた娯楽性は重宝します。 結論としては、通勤時間に気軽に読むにはちょうどいい一冊ですが、ミステリーとしての完成度を求める方には物足りないかもしれません。買う前に図書館で借りるなど、様子見してから判断することをお勧めします。
警察小説とミステリーの良さが詰まった一冊でした。藍本小百合という主人公のキャラクターが本当に魅力的で、新社会人の僕としても仕事への向き合い方について考えさせられます。 何より秀逸なのは、怪盗フェイクという敵の存在設定です。SNSで日時指定の犯行予告をするという大胆さと、変幻自在に姿を変えるという予測不可能性が、物語に絶妙な緊張感を生み出しています。署長室の一億円を守り切れるのか、それとも盗まれてしまうのか、ページをめくる手が止まりませんでした。 新書というコンパクトなフォーマットなのに、ストーリーの密度が濃いのも印象的です。短編のようでいながら、登場人物たちの関係性や警察内部の力学も丁寧に描かれていて、単なるエンタメ小説ではない深さを感じました。仕事帰りの移動時間で読み進められたのも良かった。 大森署シリーズをこれから追いかけたくなる、そんな一冊です。
エンジニアとして複雑なシステムを設計することが多いため、人間関係の複雑さや予測不可能な展開の面白さに惹かれるんですが、この作品はまさにそのツボにはまりました。 怪盗フェイクという変幻自在の犯人と、大森署の藍本小百合たちの緊迫した対立。日時指定での犯行予告という大胆な宣言から始まるストーリーは、どこかオペレーション的な綿密さがあります。一億円という大金と、署長室の金庫という限定された舞台設定も、論理的な思考を持つ人間にとって非常に満足度の高い設定です。 本筋の謎解きの面白さはもちろん、登場人物たちの会話や小ネタが秀逸で、思わず笑ってしまう場面も多い。新書という手軽なフォーマットながら、濃密な物語体験ができるのは、著者の力量の表れだと思います。 用心深く本を選ぶ方にはぜひお勧めしたい。事前のレビュー評価に違わず、読んで損なし。続編があるならそちらも読みたくなる完成度の高さです。