ホテルローヤル
集英社 | 2015/06/25
みんなの感想
直木賞受賞作ということで、話題性に惹かれて手に取った一冊だ。ラブホテルという限定的な空間を舞台にしながら、ここまで深い人間ドラマが描けるのかと驚いた。 男と女が一室で交わす時間は、決して艶めかしいだけではない。むしろ、互いの孤独がぶつかり、共鳴し、時に治癒される瞬間の連続だ。会社員として、人間関係の疲労を抱えている身としては、この「心も裸にする」という表現がすごく刺さった。表面的な付き合いではなく、本当の意味での相互理解を求める切実さが伝わってくる。 文庫版は読みやすく、短編というボリュームも仕事の合間に無理なく読める。人生経験を重ねた四十代だからこそ感じられる、この物語の豊かさと切なさがあると思う。現代人の孤独をテーマにした良質な文学作品として、強くお勧めしたい。
直木賞受賞作ということで気になって手に取ったんですが、想像以上に深い作品でした。ラブホテルという舞台設定だけ聞くと、どうしても表面的なストーリーを想像してしまいますが、実際には二人の登場人物が抱える孤独や人生の断片がこんなに繊細に描写されるとは思いませんでした。 限られた空間の中で、互いの心と体を徐々に開いていく過程が非常にリアルです。会話の間合いや沈黙の使い方が絶妙で、それぞれのキャラクターが何を考え、何を求めているのかが自然と伝わってきます。新社会人として毎日を忙しく過ごしている自分にとって、こういった人間関係の本質的な部分を見つめ直す機会になりました。 文庫本という手軽さもあって、通勤時間を使って一気読みしてしまいました。大人が読むべき現代文学だと感じます。話題作として知られるのも納得できます。
直木賞受賞作というので恐る恐る手に取った一冊ですが、これは本当に素晴らしかった。ラブホテルという舞台設定だけで敬遠する人もいるかもしれませんが、むしろそこが秀逸。日常から切り離された非日常空間だからこそ、登場人物たちが本来の自分を取り戻せるんです。 仕事柄、人間関係の複雑さには目が肥えているつもりでしたが、この作品は違う。心理描写の細やかさに引き込まれて、徹夜してしまいました。男と女がぶつかり合い、時に傷つき、それでも繋がろうとする過程が、こんなにも美しく描かれるとは。 文庫版で手軽に読める点もいいですね。仕事の疲れで心が荒れているときこそ、この物語の中の会話や情景に癒されるような感じがします。決して難しい表現ではなく、自然に物語に没入できます。人生経験がある程度積まれた大人だからこそ響く、そういう一冊だと思いました。