抱擁、あるいはライスには塩を

抱擁、あるいはライスには塩を

江國香織

出版社:集英社 出版年月日:2010/11/01

集英社 | 2010/11/01

3.67
本棚登録:6人

みんなの感想

感想

家族の複雑さって、実は誰もが多かれ少なかれ持ってるんじゃないかな。この本を読んでそう感じました。 神谷町の洋館に暮らす柳島家という、一見すると個性的すぎる家族を軸に展開する物語なんですが、読み進めるにつれ、風変わりな外見の奥に潜む、本当に大切なものが見えてくるんです。ロシア人の祖母の存在、学校に通わせない教育方針、複雑な家族構成―これらの要素が、最初は「変わった人たちだな」という印象から、「だからこそ彼らは絆が深いんだ」という理解へと変わっていく。その過程が素敵なんですよ。 三世代、百年という時間軸で家族の物語を追うことで、時代の変化と個々の人間ドラマが巧みに織り交ぜられています。公務員として常識的なものの見方をしている自分からすると、こういう「世間的には異なる」けど、その中にちゃんとした哲学や愛があるという世界観に、いい刺激をもらった気がします。 気軽に読める小説でありながら、読み終わったあと家族って何だろう?と考えさせてくれる、そういう奥深さが好きです。

感想

最近、本屋さんで目に留まったこの作品。話題になっているとのことだったので、手に取ってみました。 読み始めると、東京・神谷町の古い洋館を舞台にした、実に個性的な家族の物語に引き込まれていきました。ロシア人の祖母、学校に行かない子供たち、複雑な家族関係——こうした「風変わり」な設定が、ただ奇想天外なだけではなく、深い人間ドラマとして丁寧に描かれているのです。 三世代百年という壮大なスケールで、家族とは何か、愛とは何かを問い直す視点が、72歳の身にはしみじみと響きました。現代社会の「標準的」な家族観を揺さぶる問いかけが、随所に散りばめられており、人生経験を重ねた読者だからこそ味わえる奥行きがあると感じます。 文章も洗練されていて、一気読みさせられました。ボランティア活動をしていると、様々な家族形態や人生の営みに出会いますが、この本はそうした多様性への理解を深めてくれるようなところもあります。ぜひ多くの人に読んでもらいたい一冊です。

感想

大正期の洋館を舞台にした家族の物語ということで、どんな世界観が広がっているのか期待して読み始めました。ロシア人の祖母、学校に行かない子どもたち、複雑な家族構成—確かに設定だけ聞くと興味をそそられます。 ただ実際に読んでみると、面白さと退屈さが混在する感じでした。百年という長いスパンで三世代を描いているはずなのに、登場人物たちの心情移動がどうも淡白に感じられて。設定の風変わりさに頼り過ぎているような印象も受けたというか、その複雑さを生かしきれていないもどかしさがあります。 エッセイ的な部分も含まれているからか、叙述に起伏がなくて一気読みとはいきませんでした。でも「誰もが完璧な家族ではない」みたいなメッセージは十分に伝わってくるし、ある程度は楽しめるレベルではあります。独特の空気感が好きな人なら深くハマるかもしれない。私の場合は、もう一歩何か引き込まれる要素が欲しかったな、という感じです。気軽に読むにはちょうどいい本ですが、特に心に残るシーンはありませんでした。

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