きずもの

きずもの

西 加奈子

出版社:小学館 出版年月日:2026/09/30

小学館 | 2026/09/30

3.67
本棚登録:35人

みんなの感想

感想

直木賞受賞作『サラバ!』以来、待ちに待った新作です。5年ぶりの長編ということで、期待を胸に手に取りました。 話題の本として注目していた『きずもの』ですが、読み始めたら一気に引き込まれてしまいました。小説家・松川貢と幼馴染みの田持猛、そしてカナダで暮らす登場人物たちの物語が複雑に絡み合っていく構成が秀逸です。 特に印象的だったのは、SNSを通じた現代的な人間関係の描き方。かつての上下関係が時とともに逆転していくその微妙な心理描写が、まるで自分自身の人生と重なるようで、深く考えさせられました。距離感を保ちながら繋がり続ける関係性の難しさと、そこに生まれる感情の揺らぎが丁寧に描かれています。 執筆に3年を費やしたというだけあって、登場人物たちの背景や時間の経過が立体的に感じられます。「絶望と勇気が肩を組んでやってくるような」という帯の言葉通り、人生の選択と葛藤がリアルに迫ってきます。50代だからこそ響く物語との出会いでした。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』以来、5年ぶりとなる長編という触れ込みで手に取った一冊。著者の力量を信頼して読み進めたが、正直なところ期待と現実の開きを感じずにはいられなかった。 幼馴染みという過去の繋がりと、現在のSNS越しの関係性という構図は興味深い。また、バンクーバーという異郷を舞台にした人間関係の変化も、描く余地のあるテーマだ。だが、その両者が相乗効果を生み出すまでには至らなかったように思う。各エピソードは丁寧に構築されているものの、全体としての統一感や必然性に欠けるところがある。 自営業の身として、時間管理と限られた読書の時間を大切にしている。だからこそ、心を深く揺さぶられるか、思想的な示唆を得たいという期待が強くなる。本作は読みやすく、文体も優れているが、それだけに、もう一段階の深さや力強さを求めてしまうのだ。悪くない作品だが、代表作と呼ぶにはまだ何かが足りない。そんな印象を持ちながら読了した。

感想

5年ぶりの新作ということで、期待を持って手に取った。著者の前作「サラバ!」の圧倒的な人物描写の力が、ここでもいかんなく発揮されている。 幼馴染みという関係を軸に、時間とともに変わっていく人間関係の微妙さ、SNSという現代的な距離感、そしてバンクーバーという場所も含めて、複数の視点から人生が描かれていく構成が見事だ。自営業をしていると、自分自身もこうした人間関係の変化を肌で感じることが多い。懐かしい友人との関係が、いつの間にか歪んでいたり、予期しない形で繋がり直したり。そうした実感が、この作品の随所に息づいていて、本当に引き込まれた。 特に印象深いのは、登場人物たちが抱える「きず」が、決して修復されるものではなく、そのまま共存していく様子が描かれていること。人生というのは本来そういうものなのかもしれない。執筆に3年費やしたというだけあって、細部まで丁寧に書き込まれている。気軽に読むつもりが、深く考え込んでしまう一冊。間違いなく代表作の一つになると思う。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』以来、5年ぶりの長編ということで期待を込めて手に取りました。その期待は見事に報われました。 本作は、幼馴染みの関係性の反転、時間とともに変わりゆく人間関係という、誰もが経験しながらも言葉にしにくいテーマを扱っています。SNSでゆるやかに繋がり続ける二人、異国でのルームシェアを通じて深まる友情——複数の人物が編み込まれた構成は、職場での人間関係を日々マネジメントする身として、非常に興味深く読み進められました。 著者の筆力は相変わらず秀逸です。絶望と勇気が肩を組んでやってくるという帯の言葉が、読み終わった今、深く腑に落ちます。人生の半ばを過ぎた世代だからこそ感じられる、時の重みと人間関係の複雑さが丁寧に描かれている。決して明るい物語ではありませんが、その中に静かな希望を見出す——これが大人の読む小説の醍醐味だと改めて感じました。 話題作として高く評価されているのも納得です。同世代の女性にこそ、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』以来、待ちに待った長編小説です。話題になっているので手に取ってみましたが、期待を裏切らない作品でした。 松川貢と田持猛という幼馴染みの関係の逆転、そしてバンクーバーで展開する遥と万千花のストーリー。一見すると別々の人生が描かれているようですが、読み進めるうちに、絶望の中にも勇気を見いだそうとする人間の姿勢が浮かび上がってくる。この著者ならではの深い視点だと感じました。 執筆に3年費やされたというだけあって、登場人物たちの心情描写の丁寧さに引き込まれました。SNSを通じた現代的なつながりの描き方も新鮮です。時間とともに変わっていく人間関係の機微を、じっくりと味わえる。 派手な展開ではなく、静かに心に響く物語。57歳という年代だからこそ、人生の重さや選択の結果を思わずにいられません。これは何度も読み返したくなる一冊です。

感想

「サラバ!」の著者による新作ということで、期待して手に取ってみました。SNSで繋がり続ける幼馴染みや、海外での生活など、現代的なテーマが描かれているんだなって感じます。 正直に言うと、最初はすごく引き込まれるのかなと思ってたんですけど、読み進めるうちになんか微妙な感じに…。複数の人物の視点が交差する構成は面白いんですが、どの登場人物にもイマイチ感情移入できなくて。それぞれのエピソードは丁寧に描かれてるんだけど、全体としてつながりきっていないような、もやもやした感覚が残りました。 表紙の「絶望と勇気」というキャッチコピーは素敵だし、内容も決して悪くはないんです。ただ、期待値が高かった分、ちょっと物足りなかったというか…。高専の課題で忙しいから、もう一度ゆっくり読んでみたら印象が変わるかもしれないけど、今のところは「そこそこだった」という感じです。難しい本が好きな人なら評価が違うのかな。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』以来、5年ぶりとなる長編小説ということで期待して手に取りました。正直なところ、評判だけで選ぶ慎重派の私ですが、この作品は期待を裏切りませんでした。 幼馴染み同士の二組の人物たちを軸に、時間の流れの中で変わっていく人間関係や立場を丁寧に描いている。特に興味深いのは、かつてのヒエラルキーが反転していく様子を、登場人物たちがどのように受け止めているのかという点です。SNSというツールを通じた繋がりと、実際の人生の変化が複層的に描かれていて、現代を生きる大人たちのリアリティを強く感じました。 技術的には、複数の視点から同じ時空を眺める構成が秀逸。エンジニア気質の私としては、このような構造設計に思わず唸ってしまいました。ただし、物語全体が内省的で瞑想的な雰囲気なので、テンポの良さを求める方には向かないかもしれません。 完成度の高さを感じさせる傑作です。少し時間をかけてでも、丁寧に読む価値のある一冊だと思います。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』から5年、待望の長編とあれば期待値も自ずと高まるというもの。実際に手に取った際、著者の円熟した筆致と複数の人物を同時に描く構成に引き込まれました。 ただ、読み終えてみると、何か物足りなさが残ってしまったのが正直なところです。幼馴染みという過去の繋がり、SNSという現代的な距離感、そしてバンクーバーという地理的な分断——これらの要素は確かに興味深いのですが、それぞれが十分に融合しきれていないような印象を受けました。 登場人物たちの心理描写は丁寧ですし、時間軸の使い方も工夫されています。ただ管理職として日々判断を迫られる立場から見ると、物語全体としての明確なテーマや到達点が曖昧に感じられてしまいました。「絶望と勇気」というコピーは惹かれるのですが、その葛藤がもっと鮮烈に立ち上がってくれば、この作品はさらに力強いものになったはずです。 決して悪い作品ではありません。むしろ落ち着いて読める良質な長編です。ただ、同著者の過去作と比較してしまうと、どうしても一段階下の評価になってしまいます。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』の著者による5年ぶりの長編ということで、期待して手に取りました。幼馴染みたちの人生が時間とともに変化していく様子を描いた作品で、世代の変遷や関係性の微妙な移ろいについてじっくり考えさせられます。 ただ、正直なところ、どうしても心を掴まれる瞬間に辿り着けませんでした。登場人物たちの葛藤や成長は丁寧に描かれているのですが、その過程を追う喜びが薄い感じがします。もしかしたら、日々の生活に忙しい今の自分の心持ちの問題かもしれません。 執筆3年をかけただけあって、細部の描写や心理描写の繊細さは素晴らしいのです。ただ、全体として重たい空気が流れ続けるため、読了後の達成感よりも疲労感が残ります。好評の声も多いようなので、もしかしたら時間を置いて再び手にすれば、異なる感想を抱くかもしれません。今の評価は可もなく不可もなく、という印象です。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』の著者による5年ぶりの長編ということで、期待を持って手に取りました。幼馴染みと現在の関係、複数の登場人物が時間とともに変わっていく様が丁寧に描かれており、人間関係の複雑さについて考えさせられます。 ただ、率直なところ、物語の構成や展開に若干の物足りなさを感じました。登場人物たちの心理描写は丁寧ですが、話が進むにつれてやや散漫になってくる印象を受けます。SNSを通じた人間関係の描写は現代的で興味深いのですが、それが物語全体にどう繋がっていくのかの緊張感が弱いように思えました。 新社会人になった今、人間関係の変化について改めて考える機会をくれた点は良かったです。ただ、同じ著者の『サラバ!』と比べると、圧倒的な説得力に欠ける部分があるのは事実。文章の質は高いものの、全体的には「良い小説だが傑作ではない」という感じですね。もう少し読み終わった後に何か心に残るものがあれば、評価も変わったと思います。

感想

話題の新作ということで期待して手に取ったのですが、正直なところ期待値を下回ってしまいました。 複数の登場人物の人生が交錯する構成は興味深いのですが、各エピソードが散漫に感じられて、全体としてどこへ向かっているのか掴みにくかったんです。SNSでの幼馴染みとの関係性や、バンクーバーでの生活など、素材は魅力的なのに、それらがどう繋がり、何を伝えたいのかが曖昧に思えました。 3年の執筆期間をかけた作品ということで、もっと深みや説得力があるのかと想像していたので、ちょっと肩透かしをくらった感じです。著者の前作「サラバ!」の力強さを知っているだけに、その差が余計に感じられてしまいました。 文章そのものの美しさや細部の表現は流石ですが、それだけではストーリー全体の物足りなさはカバーできませんでした。万人受けする話題作を求めている読者には向かないかもしれません。

感想

5年ぶりの長編という触れ込みに期待して手に取った。直木賞受賞作『サラバ!』以来、著者の作品から目が離せないのだが、このたびもまた見事だ。 物語は一見、バラバラな登場人物たちの人生を追うようにして進む。だが読み進むうちに、時間の経過とともに関係性が複雑に絡み合い、やがて収斂していく構成の巧さに引き込まれる。SNSという現代的な装置を通じて緩やかに繋がり続ける人間関係の微妙な変化——それは我々フリーランスにとっても他人事ではない。 郷里の幼馴染みとの関係が逆転していくプロセスが特に心に残った。誰もが経験する「かつての自分」と「今の自分」のズレ。その違和感や後ろめたさが言語化される瞬間は、著者独特の繊細さが光っている。 絶望と勇気が肩を組んでやってくるという帯の言葉は大げさではない。読了後、しばらくこの物語の世界に浸っていたくなる。執筆に3年要したという納得の出来栄えである。

感想

直木賞受賞作で話題になってたから読んでみました。「サラバ!」の著者の新作って聞くと期待値が高くなっちゃうんですけど、正直なところ思ってたのとちょっと違う感じ? 小説家と運動得意な幼馴染み、それからカナダにいる親友とのルームシェア相手の話で、複数の関係性が絡み合うストーリーなんですけど、読んでいて「あ、ここいいな」って思う場面もあれば「え、そこ?」って感じる場面もあったり。時間をかけて執筆された作品だからか、深さはあるんだけど、すごく引き込まれるかっていうと微妙。 登場人物たちの心情の変化は丁寧に描かれてるし、大人たちの複雑な感情を読み取るのは勉強になります。ただ高校生の私からするとちょっと遠い世界に感じちゃって。もっと一気読みしたくなるような作品かと思ってました。普通に面白いんですけど、絶賛するほどではないかな、っていう印象です。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』の著者による5年ぶりの長編との触れ込みに惹かれて手に取りました。期待値が高かったぶん、正直なところ少し肩透かしを食らった印象です。 複数の登場人物の視点から時間軸を交錯させながら描かれる構成は興味深いのですが、各々のストーリーがなかなか噛み合わず、読み進めるうちに散漫な印象を持ってしまいました。SNSでの緩やかなつながりや、過去と現在の関係性の逆転といったテーマは現代的で共感できる部分もあるのですが、その掘り下げの深さが足りないように感じました。 会社員生活が長い身としては、人間関係の複雑さや人生の選択肢の多様性について考える余地はあります。ただ、物語全体としてのメッセージが今ひとつ明確でなく、読み終わった後に「それで?」という引っかかりが残ってしまったんです。 話題作だからこそ期待が膨らんでいたのかもしれません。もう一度じっくり読み直すと、異なる印象を持つかもしれませんが、初読の段階では満足度が低めです。

感想

話題の新作ということで手に取ってみましたが、本当に良かった。直木賞受賞作『サラバ!』の著者さんの5年ぶりの長編だそうで、期待以上でした。 小説家と運動選手、そして都市と地方、日本とカナダ——いろんな対比が織りまぜられていて、読んでいて引き込まれてしまいます。昔は上下関係だった人間関係が時間とともに逆転していく、そういう人生の機微が丁寧に描かれているんですね。 SNSで細く繋がり続ける幼馴染、新しい出会いから始まる共同生活。現代的なテーマなのに、どこか懐かしさもある。3年の執筆期間をかけただけあって、一つひとつの言葉が大事に選ばれているような印象です。 絶望と勇気が肩を組んでやってくるという帯の言葉がぴったりでした。人生の後半戦に差し掛かった私も、この物語の中の登場人物たちの選択や迷いに共感できることがたくさんありました。新聞の広告で見かけて良かった。同年代の方にもぜひ読んでほしい一冊です。

感想

直木賞受賞の『サラバ!』以来、5年ぶりの長編ということで期待を持って手にした一冊です。著者の作風ということもあり、人間関係の機微や時間の流れをどう描くか興味深かったのですが、読み終わってみると正直、期待値と現実のギャップを感じてしまいました。 幼馴染みや偶然の出会いから始まる複数の人間関係が並行して描かれていく構成は興味深いものの、それぞれのストーリーの結びつきや深化がもう一歩足りないような印象を受けます。個々のエピソードは丁寧に書き込まれているのに、全体として「何を読者に問いかけようとしているのか」という軸が曖昧に感じられてしまったのです。 執筆に3年の歳月を費やしたとのことですが、その労力の割に、読んでいてしっくり来ない箇所が散見されました。もちろん文体の質は高く、著者の筆力は衰えていませんが、この作品が「新たなる代表作」と呼ばれるに足るか、私としては首を傾げてしまいます。前作を愛読した方には物足りなさがあるかもしれません。

感想

孫の勧めで手に取った一冊です。直木賞作家の新作ということで、どんな話か興味津々でした。 読み始めてみると、登場人物たちの人生が時間をかけてゆっくりと交差していく様子が、なんともいえず心に残ります。幼なじみと大人になってから繋がり直す関係、遠く離れた地で新しい環境に飛び込む女性たち。誰もが人生のどこかで岐路に立たされ、選択を重ねていくんだなあと改めて思わされました。 さすが3年かけた力作だけあって、描写も丁寧で、一つひとつのシーンが活きています。読んでいて時間を忘れてしまいました。 最後まで読み切ると、登場人物たちが背負っていた重さと、その先にある光のようなものが見えてくる。そういう静かな感動を与えてくれる良い小説だと思います。パート帰りの疲れた体にも、心地よく沁みこんでくる作品でした。同年代の方にもぜひ読んでほしい一冊ですね。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』以来、この作家の新作を待ち焦がれていた。5年ぶりの長編『きずもの』は、やはり期待を裏切らない傑作だ。 幼馴染みの二組が織りなす人生のドラマを、実に丁寧に紡ぎ出している。SNSで繋がり続ける関係性の描き方が、現代社会を生きる私たちの実感とぴったり重なる。かつて仰ぎ見た存在との逆転、そして新しい出会いと別れ—こうした人間関係の揺らぎが、深く静かに心に響く。 年を重ねた身にはなおのこと、人との繋がりの不確かさ、そしてそれでもなお歩み続ける勇気というテーマが胸に沁みる。執筆に3年費やしたというだけあって、一つ一つの場面、言葉選びに作家の執念が感じられた。決して派手ではないが、じっくり読み込む価値のある一冊。同世代の皆さんにもぜひ手に取っていただきたい。

感想

直木賞受賞作の著者による5年ぶりの長編ということで、かなり期待値を上げて手に取りました。その期待が見事に応えられた感動を、今でもしっかり感じています。 本書の魅力は、時間の流れの中で変わっていく人間関係をこんなにも繊細に描写できるところにあると思います。幼馴染みだった二人の立場がいつの間にか逆転している、その違和感と複雑さ。遠く離れた場所で新しい人生を歩む人たちの選択と覚悟。どのエピソードも他人事とは思えず、自分自身の人生と重ね合わせながら読み進めました。 39歳という年齢だからこそ、主人公たちの葛藤や後悔、そして前に進もうとする勇気がグッと心に響きました。絶望と勇気が肩を組んでやってくるという帯のフレーズ、その通りです。執筆に3年を費やした著者の覚悟が伝わってくる、本当に素晴らしい作品。慎重に本を選ぶ私だからこそ、自信を持ってお勧めできます。

感想

直木賞を受賞した「サラバ!」の著者による5年ぶりの新作ということで、期待を込めて手に取りました。複数の人物の人生が交差する物語という設定は興味深かったのですが、正直なところ、読み進めるのに疲れてしまいました。 登場人物たちの時間の流れを丁寧に描写しようという意図は理解できますが、その描き方がやや冗長に感じられます。SNSでゆるく繋がる関係性や、バンクーバーでのルームシェア生活など、現代的な要素は多いのに、それらがどう絡み合うのか、物語の核心がなかなか見えてこない。読んでいて「これからどこへ向かうのだろう」という不安感が拭えませんでした。 「絶望と勇気が肩を組んでやってくる」というキャッチコピーの世界観に惹かれていただけに、もう少し読者の心をつかむ展開や深さがあれば良かったと思います。期待値が高かった分、ギャップを感じてしまいました。

感想

直木賞受賞作『サラバ!』の著者による5年ぶりの長編ということで、期待を持って手に取りました。確かに力のある作品ではあるのですが、率直に言って、私には若干のもどかしさが残りました。 幼馴染みの関係性の逆転、バンクーバーでの生活、複数の登場人物たちの時間の流れ——構成自体は興味深く、著者の筆力も十分です。ただ、各々のエピソードが散在している印象を拭えず、全体として一本の軸が通りきっていないような感覚を覚えてしまいました。 この年代の人間として、あるいは仕事の傍ら読書を続ける者として、個人的には「絶望と勇気」というテーマをもっと深く掘り下げた展開を期待していました。著者の過去作と比べると、いくぶん散漫な印象は否めません。 それでもなお、細部の描写力や人物造形には光るものがあります。決して悪い作品ではないのですが、現時点では「傑作」とまで言い難いというのが、私の率直な感想です。著者の今後の作品に期待しつつ、本作はじっくり咀嚼する価値のある一冊だと思います。

感想

5年ぶりの長編小説という触れ込みに、つい手に取ってしまいました。直木賞受賞作『サラバ!』の著者による新作ということで、期待値も高かったのですが、それを十分に満たしてくれた一冊です。 幼馴染み同士の関係性の変化、そしてカナダでの新しい人間関係。一見すると別の物語のようでいながら、時間の流れの中で確かに繋がっていく。その構成の巧みさにまず驚かされました。登場人物たちが抱える「きずもの」とも言える痛みや葛藤が、決して重くなりすぎず、でも決して軽くもない。まさに「絶望と勇気が肩を組んでやってくる」という言葉がぴったりです。 会社員生活も長くなると、人間関係の複雑さや時間とともに変わる自分たちの立場というものをしみじみと感じるようになります。この作品は、そうした大人の心情を丁寧に掬い上げてくれる。読みながら何度も自分の人生と重ねてしまいました。久しぶりに、心に残る小説と出会えて本当に良かった。

感想

話題になってから待ちに待った作品です。3年の執筆期間を経た『きずもの』、さすがの重厚さ。 幼馴染み同士の二つの物語が並行して進む構成が素晴らしい。松川貢と田持猛という、かつての上下関係が時間とともに逆転していく様子—それって本当にリアルですよね。SNSでつながり続けるというのも今の時代だからこその設定で、なんだか自分たちの世代の話を読んでいるような親近感があります。 バンクーバーのパートも魅力的で、地理的な距離があるのに関係性が深まっていく過程が丁寧に描かれている。「絶望と勇気が肩を組んでやってくる」という帯の言葉がぴったりで、読み進めるたびにその意味が腑に落ちてきます。 直木賞受賞作の『サラバ!』以来の長編ということで、著者の筆力の熟成を感じます。新社会人として人間関係の複雑さを実感し始めた時期に読めて良かった。時間をかけて読む価値のある一冊です。

感想

図書館で何か長めの小説ないかなって探してたら、この本を見つけました。直木賞受賞作家の新作ということで期待して読み始めたんですけど、正直なところ微妙でした。 物語は幼馴染みの関係性とか、海外での生活とか、複数の視点で進んでいくんですが、それぞれのストーリーがどうつながってるのか最後までぼんやりしたままで。キャラクターたちの心情描写は細かいんだけど、全体的に何を言いたいのかがよく分からなかったです。 執筆に3年かけたらしいから力作なんだと思うけど、僕みたいな高校生だと登場人物たちの人生観とか葛藤にあんまり共感できなくて。難しく考えずに読むと退屈だし、真面目に読もうとすると重すぎるというか。 つまらなくはないんだけど、わざわざ時間かけて読む価値があるかって言われると…って感じですね。もっとスッキリした結末とか、キャラの成長が見えたらよかったのになあ。

感想

5年ぶりの長編ということで、期待値が高かったんですけど、その期待をしっかり満たしてくれた作品でした。 幼馴染みという共通の過去を持つ二組の人物たちが、時間とともに変わっていく様子を丁寧に描いているんですが、この「時間の流れ」の描き方がすごく自然で、読んでて引き込まれてしまいました。特に、SNSでゆるく繋がり続けるという現代的な関係性が、逆に人生の分岐を浮き彫りにするところが印象的。 フリーランスという立場で不規則な生活してる僕だからこそ、登場人物たちが人生の中で何度も選択肢に直面する場面に共感できたんだと思います。絶望と勇気が肩を組んでやってくるというキャッチコピーがありますが、まさにそういう感じ。重くなりすぎず、でもちゃんと心に残る。 3年かけて執筆したというのも納得の作品です。仕事の合間に気軽に読むつもりだったんですが、気づいたら一気読みしてました。ここ最近で一番良い小説かもしれません。

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