号泣する準備はできていた

号泣する準備はできていた

江國香織

出版社:新潮社 出版年月日:2006/06/28

新潮社 | 2006/06/28

4.12
本棚登録:20人

みんなの感想

感想

後書きが良かった 不意に訪れたことだとしても、所有はしており、号泣する準備ができている 安心する

感想

恋愛小説を避けてきた私が、このような作品に心を掴まれるとは思いませんでした。 表題作の冒頭から、その深い悲しみが伝わってきます。濃密な関係が壊れていく過程を描くなんて、正直なところ読むのが辛いんじゃないかと心配していたんです。でも読み進めるにつれ、著者の言葉選びの優しさに救われました。 短篇集なので様々な恋愛の形が描かれていますが、どれもが「号泣する準備」という共通のテーマでつながっている。悲しみの中にもどこか温かみがあって、読み終わった後に「これでいいんだ」と頷ける。主婦生活で日常に埋もれていた感情を揺さぶられた気がします。 唯一、全ての短篇が心に残るわけではなく、若干退屈に感じる篇もあります。けれど全体としては、人生経験を重ねた今だからこそ響く言葉がたくさんありました。直木賞受賞作というのも納得です。恋愛小説だからと敬遠している方にも、ぜひ手に取ってみてほしい一冊。

感想

恋が終わる時って、こんなに静かなんだ。そう思わせてくれた短編集です。 表題作の「号泣する準備はできていた」から一気に引き込まれました。濃密な恋が壊れていく過程が、これ以上ないほど繊細に描かれていて、読んでいて息が止まりそうになる瞬間が何度もありました。でも不思議と絶望的ではなくて、むしろ「こういう痛みって大事なんだな」って感じさせてくれるんです。 「じゃこじゃこのビスケット」みたいに思春期の酸っぱい思い出を扱った作品もあれば、大人の恋の複雑さを淡々と綴った作品もあって、全12篇どれも個性的。短編だからこそ、一編一編の濃度が濃くて、読み終わった後もずっと余韻が残ります。 何より良かったのは、悲しみを突き詰めながらも、どこか希望を感じさせてくれるところ。号泣するほどの辛いことが起きても、きっと大丈夫って優しく言ってくれているような。最近ちょっと疲れてる時こそ、こういう本って心に沁みるんだなって改めて実感しました。

感想

直木賞受賞作というので、どんな作品かと手にしてみたのだが、予想以上に心に響く短編集だった。 表題作「号泣する準備はできていた」を読んで最初に思ったのは、恋愛という普遍的なテーマなのに、これほどまでに深く、繊細に描くことができるのかということだ。終わりゆく恋の中で揺らぐ心情が、まるで自分自身の経験のように感じられた。教員という職業柄、生徒たちの心理状態を日々観察する習慣があるのだろう。その視点が作品を読むときにも働くのか、登場人物たちの微妙な感情の変化が痛いほど伝わってくる。 「じゃこじゃこのビスケット」のような初恋のエピソードもあれば、大人になってからの複雑な感情を扱う作品もある。全12篇を通じて、人生の様々な段階で経験する悲しみや喜びが丁寧に綴られている。派手な表現ではなく、静かだが力強い筆致で心を揺さぶられる。 悲しみは誰もが避けたいものだが、この作品集は「きっと大丈夫、切り抜けられる」というメッセージを静かに伝えている。人生経験を重ねた今だからこそ、このメッセージの価値が分かる気がする。話題の一冊として読む価値は十分にある。

感想

話題になっていたこの本、ついに読む機会がありました。直木賞受賞作ということで期待値も高かったのですが、予想以上に心を揺さぶられる内容でした。 恋愛という普遍的なテーマを扱いながらも、どの短篇にも独特の視点と温度感があります。表題作の「号泣する準備はできていた」は、終わってしまった濃密な恋を前にした主人公の心情描写が本当に秀逸。自分も経験のある、あの言葉にならない喪失感がリアルに伝わってくるんです。 また「じゃこじゃこのビスケット」のような初恋の話も、ほろ苦くて懐かしくて、読んでいて自分の若い日のことを思い出しました。全12篇収録されていますが、どれも短いながら完成度が高く、一気読みしてしまいました。 題名通り、号泣するほどの悲しみに見舞われても、その先には何かがあるんだと気づかせてくれるような慈悲深さが素晴らしい。人生経験を重ねた今だからこそ、より深くこの作品の良さが理解できるような気がします。日常生活に疲れた時に読み返したい一冊です。

感想

直木賞受賞作ということで手に取ってみたが、期待以上の傑作だった。短編集とはいえ、各篇それぞれが見事に完成された世界を持っていて、読み終わるたびに余韻が残る。 特に表題作の「号泣する準備はできていた」は秀逸だ。恋が終わるという万人が経験しうるシンプルなテーマなのに、こんなにも深く心を揺さぶられるとは。濃密だった関係が静かに壊れていく描写は、自分自身の人生経験と重なって、思わず本を置きたくなるほどの余韻がある。 懐かしい記憶を呼び起こす短編もある。「じゃこじゃこのビスケット」の17歳の初デート、初恋の甘さと苦さ。そういった、人生に誰もが持っている小さな物語が丁寧に拾い上げられている。 53年も生きていると、悲しみや切なさについて色々と思うことがある。この本はそうした人生経験を温かく抱きしめてくれるような感覚だ。号泣するほどの悲しみが来てもきっと大丈夫、という作者からの静かなメッセージが、なぜか心強い。普段の気軽な読書時間に、ふと深い感動を与えてくれた一冊。

感想

新聞の書評欄で見かけて、つい手に取ってしまいました。恋の終わりや心の痛みを扱った短編集と知っていたので、少し構えながら読み始めたんです。 ですが、蓋を開けてみると、どの作品も胸に染みるように優しいんですね。濃密な恋が壊れていく悲しみを描いた表題作も、もちろん切実なのですが、それでいて絶望的にならない。むしろ、そういう痛みを経験しながらも、人は前に進むんだという、静かな力強さを感じました。 特に印象的だったのは、若い頃の恋の思い出を綴った作品たち。こちらは懐かしさと、あのころの青臭さが蘇ってきて、思わず微笑んでしまいました。自分自身の人生を振り返らせてくれる作品ばかりです。 文章も読みやすく、短編だからパート帰りの疲れた体でも気軽に読み進められました。つらいことがあっても、きっと大丈夫。そう優しく励ましてくれるような一冊。これからもときどき手に取りたくなる本です。

感想

直木賞受賞作という高い評価に惹かれて手にした一冊だが、正直なところ期待と現実のズレが大きかった。 短篇集とはいえ、恋愛をめぐる感情表現に終始するばかりで、人生経験の厚みや思想的な深さが感じられない。53年も生きていると、感情の揺らぎよりも、そこからどう向き合い、何を学ぶのか、という部分に関心が向く。本書の随所に散見される繊細さは認めるが、それが共感に結びつくまでには至らなかった。 また、短篇ごとの質にばらつきがあるのも難点。傑作と凡作の落差が大きく、全体として統一感に欠ける。装丁や帯文の仕掛けも確かに魅力的だが、それが本の内実を補完するほどではない。 年若い読者には心を打つ作品なのかもしれない。だが、人文書を主軸に読んできた身からすると、文学的な価値よりも「売れている理由」が気になってしまう。もう少し骨太な構想があれば、別の評価もあったのだが。

感想

話題になっていたから手に取ってみたんですが、こんなに心に残る本だったなんて。直木賞受賞作というのも納得です。 恋が終わるときの、あの言葉にならない悲しさ。表題作はそれを本当に丁寧に描き出していて、読んでいて思わず涙ぐんでしまいました。自分の人生を重ねてしまう部分も多くて、若い頃の恋の思い出も一緒によみがえってきたり。「じゃこじゃこのビスケット」という短編も、17歳のほろ苦さがうまく切り取られていて、懐かしい気持ちになりました。 全12篇どれもが繊細で、人間関係の機微をすごく丁寧に描いている。主人公たちが号泣するほどの悲しみを抱えていても、その先に「大丈夫、切り抜けられる」というメッセージが静かに流れているんです。読み終わった後、不思議と前向きな気持ちになれました。 人生経験が増えた今だからこそ、この短篇集の良さがわかるのかもしれません。悲しみと希望が共存している、そういう世界観が本当に好きです。

感想

恋愛小説を手に取ることが多いのですが、この作品は一味違いました。濃密な恋が終わっていく悲しみを描く表題作から始まるこの短篇集は、どの作品も心の奥底に静かに響いてくるんです。 特に印象的だったのは、登場人物たちが感情に圧倒されながらも、それでも前に進もうとする姿勢。完全に立ち直るわけじゃなくて、傷を抱えたまま歩んでいく—そういう生々しさが良かった。17歳のほろ苦い初デートの話なんて、読んでいて自分の若い頃のことを思い出してしまいました。 家事をしながらの読書時間が増えている最近、こういう深い余韻を残す作品に出会えるのは嬉しいです。号泣するほどの悲しみが訪れても、きっと大丈夫—その言葉の重みが、読み終わった後もずっと心に残っています。気軽に手に取れる文庫だからこそ、多くの人に読んでほしい一冊ですね。

感想

直木賞受賞作だというので手に取ってみました。恋が終わることの悲しみを描いた短編集なんですが、読んでいてね、自分の人生を重ね合わせてしまいました。 表題作の「号泣する準備はできていた」では、恋が終わっていく過程が本当に丁寧に描かれていて、もう胸が痛くなるほど。でもね、これが不思議な力を持った作品で、悲しさの中にも温かみがあるんです。「じゃこじゃこのビスケット」という、17歳の初デートの思い出を綴った作品もいいですね。若い頃のあの淡い切なさがよみがえってきました。 12篇全部が心に響く話ばかり。人生経験がそれなりに長い私だからこそ、この作品の良さが本当によくわかるんだと思います。辛いことがあっても、それは切り抜けられる。著者がそっと囁いてくれているような感じがして、読み終わった後も心がじんわり温かいままです。文庫本だから出先でもさっと読めるのも気に入ってます。本当にいい本に出会えました。

感想

直木賞を受賞した短編集とのことで、期待を持って手に取りました。恋愛の終わりや人間関係の揺らぎといったテーマが描かれているようなので、自分の人生経験と重ねて読めるかもしれないと思ったのです。 実際に読んでみると、著者の繊細な感性が各編に浮かび上がってくることは確かです。特に表題作の濃密な関係が壊れていく過程の描き方には、心を掴まれるものがありました。ただ、全体を通して読み終えた時の印象としては、正直なところ「いい作品だな」と感じながらも、深く心に残る何かが足りない気がしたというのが本音です。 短編集というフォーマットゆえに、それぞれの物語が完結してしまい、その後の余韻が少なく感じられたのかもしれません。あるいは、加齢とともに恋愛ものへの共感度が変わってきたのか。会社員として日々を過ごしていると、こうした感情に正面から向き合う時間がなくなっているのかもしれませんね。 悪い作品ではないので、恋愛小説が好きな方には十分おすすめできます。ただ私個人としては、もう一工夫あれば、というところです。

感想

話題になっていた直木賞受賞作ということで、ずっと気になっていました。やっと読む機会を得たのですが、これは本当に素晴らしい。 表題作の「号泣する準備はできていた」から引き込まれます。濃密な恋が終わっていく過程を描いた作品なのですが、その悲しみの質感がこんなにも繊細で、正確に言葉にされているのかと驚きました。自分自身の人生経験と重ねながら読んでいると、思わず深呼吸したくなるような場面がいくつもあります。 収録されている全12篇は、どれも恋愛や人間関係の微妙な感情を扱っているのに、決して重くならず、むしろ清々しさすら感じます。特に「じゃこじゃこのビスケット」という17歳の初デートの思い出を綴った短編は、懐かしさとほろ苦さが絶妙で、何度も読み返してしまいました。 42歳になると、自分の人生経験が物語の深さを増してくれるのだと改めて気付きました。号泣するほどの悲しみが人生には何度も訪れるけれど、この本はそれを静かに肯定してくれる。そして「きっと大丈夫」と囁きかけてくれるのです。最近、こういう心に染みる本に出会うことの大切さを感じています。

感想

新潮社の文庫本ということで、話題になっているこの作品を手に取ってみました。直木賞受賞作とのこと、期待値も高かったのですが…正直なところ、可もなく不可もなく、という印象です。 恋愛の終わりの切なさや、初々しい思い出を描いた短篇集ということで、感情移入できる部分もありました。特に若い頃の恋の話は、自分の人生を重ね合わせながら読むことができます。ただ、どの話も似たような世界観で、読み進めていくうちに少し単調に感じてしまいました。 短篇集としてのバラエティに欠けるような気がして、もっと違う角度からの人間関係や人生経験を描いてくれたら、と思わずにはいられません。文章そのものは確かに上手で、心情描写も丁寧なのですが、57年生きてきた身としては、「あ、これ知ってる」という感覚が拭えませんでした。 若い世代には響く作品かもしれません。決して悪い本ではないのですが、私にとっては期待と現実のギャップが少しあったというところです。

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