人生が二度あれば

人生が二度あれば

垣谷美雨

出版社:中央公論新社 出版年月日:2026/09/18

中央公論新社 | 2026/09/18

4.20
本棚登録:6人

みんなの感想

感想

この本、タイトルと帯の言葉で思わず手に取ってしまいました。63歳の主婦が人生をやり直したいと願う──自分の親世代の話なのに、どきっとするほど他人事じゃない感じがして。 実際に読んでみると、タイムスリップという非現実的な設定を通じて、すごくリアルなテーマが描かれていたんです。昭和の価値観に立ち向かう主人公の奮闘を応援しながら読んでいたら、今の自分たちが当たり前だと思っていることだって、実は大事な誰かの工夫や葛藤で成り立っているんだなと気づかされました。 何より、「もう一度やり直せたら」という誰もが一度は考える問いを、こんなにあたたかく、そしてユーモアも交えて描いてくれるところが好き。重くならず、でも深い。主婦の視点で読むと、共感ポイントが本当にたくさんあります。家事の合間にサッと読めるのも、このフォーマットの良さですね。人生について考えさせられながらも、読み終わったあとはなんだか前向きな気分になれた一冊です。

感想

人生をやり直したいという誰もが一度は抱く願望を、タイムスリップという仕掛けで真摯に問い直す作品だ。 63歳の主婦が中学生に戻るという設定だけ聞くと、軽めのファンタジーかと思ってしまうが、読み進むと意外な深さに引き込まれた。自分を犠牲にしてきた人生への後悔と、それでも変わることができるかもしれない可能性への希望が緊張感を持って共存している。昭和の時代設定も重要で、男尊女卑の価値観に抗うことの困難さがリアルに描かれている。 エンジニアという仕事柄、限られた条件の中で最適な選択肢を見つけるプロセスに興味を持つ質なのだが、この物語の中心にある「人生設計シート」という概念が面白かった。未来を想定して現在を評価し直すという思考方法は、人生にも仕事にも応用できる視点だと感じた。 決して説教的にならず、登場人物たちの試行錯誤の中で読者に問いを投げかける構成も秀逸。女性だけでなく、男性である自分にとっても考えさせられる作品に仕上がっている。

感想

久しぶりに一気読みしてしまった。タイムスリップというファンタスティックな設定なのに、その中に描かれているのは極めてリアルで生々しい人間ドラマだ。 主人公・雅美さんが人生設計シートで己の人生を見つめ直し、やり直せるなら……と考えるくだりは、同じ中年男性として胸が痛んだ。自分たちの世代も、親の価値観に知らず知らずのうちに縛られて、本当は何がしたかったのか忘れてしまっているのではないか。そんなことを考えさせられた。 物語は昭和という時代背景を通じて、女性が直面してきた理不尽さや窮屈さを丁寧に描いている。しかし決して重くなく、中学生に戻った雅美さんと天ヶ瀬さんの活動を通じてユーモアと希望も感じさせてくれる。人生のやり直しが物理的には不可能でも、今この瞬間からの選択は自分たちの手にあるんだという前向きさが素晴らしい。 忙しい毎日の中で、自分の人生について改めて考えるきっかけをくれる良い一冊。仕事漬けの日々から少し距離を置いて読むことをお勧めしたい。

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