直人の本棚
じい散歩 妻の反乱

じい散歩 妻の反乱

藤野千夜 双葉社 2026年10月14日

感想

前作『じい散歩』が話題になっていたので、続編が出たと聞いて早速手に取った。正直なところ、こういった家族ものの続編というのは往々にして蛇足になりがちだが、本書はそんな懸念を見事に払拭してくれた。 歳を重ねるごとに増していく老夫婦の日常をユーモアと哀愁を織り交ぜて描く手腕は相変わらず秀逸だ。新平と英子の関係性に、自分たち夫婦の姿を重ねて読んでしまう部分も多い。特に、妻への気遣いと、その気遣いに応えようとする妻の葛藤という構図が、これまでの人生経験を通じてリアルに感じられる。 3人の独身中年息子たちをめぐるエピソードも秀逸で、読んでいて思わず苦笑いさせられる。自分たちの世代ならではの親子関係の複雑さがあらわになっている。 タイトルの「妻の反乱」という謎かけも、読み進むにつれてその意味が明らかになっていく構成になっており、エッセイ的な軽さの中にも家族小説としての深みがある。人生の後半戦に入った世代だからこそ胸に響く一冊だった。

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