和子の本棚
北條民雄 小説随筆書簡集

北條民雄 小説随筆書簡集

北條 民雄 講談社 2015年10月10日

感想

最近、書店の新刊コーナーで何度も目にしていたこの本。北條民雄という名前は文学好きなら知っていますが、実際に彼の作品をまとめて読む機会はなかなかありません。手に取ってみると、その人生の劇的さに引き込まれました。 ハンセン病という当時の絶望的な病と向き合いながら、わずか数年という短い創作期間で次々と傑作を生み出した天才作家。この書簡集には、川端康成とのやり取りも含まれており、当時の文学界の息遣いが伝わってきます。隔離という極限状況にありながら、それでも創作へと向かう執念、人間の尊厳について考えさせられます。 何が素晴らしいかというと、完成作品だけでなく、未完の作品や随筆、書簡という多角的な視点から北條民雄という人物に迫っている点です。同じ年代で今を生きる私たちにとって、彼がどのような思いで執筆していたのか、その言葉の重みが痛いほど伝わってきます。歴史に埋もれてしまった才能を再発見できる、そんな充実感のある一冊です。

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