りょうの本棚
武器としての経営思考

武器としての経営思考

岩尾 俊兵 PHP研究所 2026年9月18日

感想

経営学というと、つい理論の堅苦しさや抽象的な概念ばかりが先行してしまうものだが、この本は違う。自営業を営む身として、日々の判断の現場で直面する「あちらを立てればこちらが立たぬ」というジレンマは、実に切実な問題だ。著者が提示する「選択肢そのものを創造する」という発想は、単なる二者択一から抜け出す道筋を示してくれる。 プロフェッショナルとの対話を通じて構成されているため、理屈だけに留まらず、実践的な洞察が随所に散りばめられている。特に「意思決定の軸」という概念は、迷いの多い時代に判断の支えになるはずだ。真面目さゆえに疲弊しがちな現代人への処方箋として機能している。 東大初の経営学博士という肩書に惑わされず、誠実に思考法を言語化しようとする姿勢が評価できる。新書という限られた紙幅の中で、経営学の本質的な価値を引き出す構成も見事だ。実務家として、今後の判断の参考にしたい一冊である。

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