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20代で得た知見

20代で得た知見

F KADOKAWA 2020年9月19日

感想

年を重ねるにつれ、人生を左右するものが何かについて考えるようになった。この本は、その問いに対して実に誠実に向き合っている。 著者が「二十代で得た知見」と称する50の断片は、決して華やかな成功譚ではない。むしろ、夜道で降り注ぐ雨のような、言葉にならない気づきの数々だ。胸に突き刺さる一言、バーで交わされた一夜限りの会話、何の救いもない都会の景色――こうした日常の断片が、実は人生を決定しているのではないかという視点は、自営業で人生経験を積んできた身として深く共鳴する。 「絶望するな、しかし生き急げ」「期待しない方が楽だが、退屈は生活の毒である」といった言葉には、青年期を経由した大人だからこそ感じる重みがある。人文書を多く読んできた視点から見ても、押し付けがましくない知的誠実さが貫かれている。本書は啓蒙的な自己啓発本ではなく、むしろ人間の在り方そのものへの問い直しだ。自営業で試行錯誤の人生を歩む中で、この本の視点は確かな灯火となるだろう。

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