誓いの証言

誓いの証言

柚月裕子

出版社:KADOKAWA 出版年月日:2026/03/26

KADOKAWA | 2026/03/26

3.67
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

法廷もの小説は好きなのですが、このタイトルには正直なところ最初スルーしていました。でも書評で気になる評価をいくつか見かけたので、思い切って手に取ってみることにしました。 結論として、その判断は正解でした。弁護士が大学時代の友人の刑事事件を担当することになるという設定は、一見ありがちに見えるかもしれません。しかし読み進むうちに、単なる法廷サスペンスではなく、過去と現在が複雑に絡み合う人間ドラマであることがわかります。 特に評価したいのは、登場人物たちの動機や感情が丁寧に描かれている点です。技術者としての職業柄、「理由のない行動」には強い違和感を持つのですが、この作品に登場する誰もが、それぞれの背景を持った説得力のある理由で動いています。約20年前の事件が現在にどう繋がるのか、その構造の見事さには脱帽です。 難点としては、後半に向けて複数の人物関係を追わなくてはならず、やや読むのに集中力が必要な点でしょうか。ただこれは批判というより、むしろ作品の密度の濃さを示す証拠だと言えます。じっくり腰を据えて読む価値のある一冊です。

感想

法廷サスペンスの傑作に出会いました。弁護士・佐方貞人が大学時代の友人の冤罪事件に立ち向かう本作は、単なる現在の事件解きにとどまりません。捜査を進めるにつれ、約20年前の香川での死亡事故へと物語が遡っていく構成が本当に見事です。 登場人物たちの人間関係が少しずつ紐解かれていく過程が、まさにミステリーの醍醐味。家事の合間に読むのに最適な長さで、朝の珈琲タイムから夜寝る前まで、いつ開いても引き込まれます。弁護士という職業を通じた法的な視点も興味深く、法律知識がない私でも自然と理解できるような丁寧な描写が嬉しい。 何より、事件の真実が明かされる瞬間の爽快感が格別です。複数の時間軸が絡み合い、最後にすべてがつながる快感。ページをめくる手が止まりませんでした。気軽に楽しめながらも、しっかりとした構成と深みのある物語。ぜひ多くの人に読んでもらいたい一冊です。

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