黒い家

黒い家

貴志 祐介

出版社:KADOKAWA 出版年月日:1998/12/10

KADOKAWA | 1998/12/10

3.25
本棚登録:6人

みんなの感想

感想

日本ホラー小説大賞受賞作ということで、期待を持って手に取りました。保険会社社員が思わぬ事件に巻き込まれていく、という設定は確かに興味深く、序盤のサスペンス的な緊張感は引き込まれます。 ただ、読み進めるうちに、物語の展開が予測可能な範囲に収まってしまう印象を受けてしまいました。主人公の調査が深まるにつれてホラー要素が強まるのですが、その恐怖の質が、現代文学として特に新しい視点を提供しているわけではないように感じます。 文章自体は読みやすく、ペース感も良好です。ただ、人間の深い部分に迫るような心理描写や、社会への問題提起といった重層性が、私が好んで読む人文思想書と比べるとやや薄い気がしました。 エンタメ小説としての完成度は高いと思いますし、ホラー好きの方には十分満足できる作品かもしれません。けれど、私個人としては「なるほど」という満足感よりも「それで?」という物足りなさが残ってしまいました。良い小説ではありますが、心に深く刻まれるほどではなかったというのが正直な感想です。

感想

『黒い家』を読み終わって、しばらく余韻が残っています。最初は保険会社の社員という地味な主人公が、ちょっと退屈かなと思ってたんですが、子供の死という衝撃的な事件から物語が急速に暗転していく緊張感がすごい。 何が怖いって、事件そのものというより、主人公が深入りするにつれて浮かび上がる家族の秘密とか、隠された真実の不気味さなんですよね。ページをめくる手が止まりませんでした。 ホラー小説として受賞作というのも納得できます。ただ怖いだけじゃなく、人間関係の歪みや心理描写が絶妙で、現実にありそうな恐怖という感じが本当に怖い。徐々に説得力を持って迫ってくる恐怖感は、他のホラー小説とは違う魅力があります。 気軽に読める文庫本だからこそ、こんな深い話が詰まってるのも好きです。寝る前に読むと眠れなくなっちゃいますが、それくらい引き込まれる面白さでした。

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