赤い指
講談社 | 2009/08/01
みんなの感想
東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズは前から気になっていたんですが、この『赤い指』はほんとうに面白かった。少女の死という痛ましい事件から始まるのですが、単なる推理小説じゃなくて、家族って何なのかをじっくり考えさせられる作品なんです。 刑事・加賀恭一郎が少しずつ事件の真相に近づいていく過程が、ページをめくる手を止められません。犯人は誰なのか、なぜこんなことが起きたのか、という謎解きの面白さもありますが、それ以上に「平凡な家族など、この世に一つもない」という言葉が心に残ります。誰もが何かしらの秘密や問題を抱えているんだな、ということが感じられるんです。 文庫本なので携帯にも便利で、パート帰りの電車の中でも読みやすい。ページ数もちょうどいいボリュームで、どんどん引き込まれていきました。家族について考え直すきっかけにもなりました。東野さんの他の作品も読んでみたくなります。
東野圭吾の「加賀恭一郎シリーズ」は以前から気になっていたんですが、このシリーズを通じて初めて手に取りました。正解だったと思います。 少女の遺体発見という重い題材から始まるのですが、単なるミステリーではなく、家族という最も身近な存在の複雑さを浮き彫りにしていく構成が秀逸。加賀刑事の「平凡な家族など、この世に一つもない」というセリフがすべてを表現しているような気がします。 ページをめくり進むにつれて、一見するとありふれた家族像が実は深い亀裂と秘密を抱えているという事実が明かされていく。その展開の巧みさ、そして登場人物たちの心理描写の繊細さに引き込まれました。 技術系の仕事をしていると論理的な解答を求めがちですが、この作品は人間関係のような「正解のない問題」について向き合うことの大切さを改めて考えさせてくれます。夜遅くまで一気読みしてしまうほどの傑作でした。
加賀恭一郎シリーズは以前から気になっていたのだが、このたび『赤い指』を手に取ってみた。結論から言うと、大変な秀作である。 少女の遺体発見という重々しいテーマから始まるこの作品は、一見すると単なるミステリーかと思わせるが、実は家族という単位そのものへの根本的な問い掛けになっている。加賀恭一郎という刑事を通じて、著者が「平凡な家族など存在しない」というテーマを丹念に掘り下げていく過程は、読んでいて息もつかせぬほどだ。 特に感心したのは、複数の視点を効果的に用いながら、登場人物たちの心理描写に深みを与えている点である。各人物が抱える秘密や葛藤が、幾重にも折り重なっていく構造は見事としか言いようがない。謎解きの部分も説得力があり、単なるトリックものに陥らない作品の格調の高さが伝わってくる。 54歳の人生経験を積んだ身として、親子間や夫婦間の関係性が問い直される部分に、強く共感できた。この作品は、ミステリーの枠を超えた人間ドラマであり、家族を持つ者なら必読の価値がある。直木賞受賞後の第一作として申し分ない充実ぶりである。
加賀恭一郎シリーズの面白さは、謎解きの鮮烈さだけではなく、その背後にある人間観察の深さにあるんだと改めて感じさせられた一冊だ。本作では、一見平凡に見える家族が抱える秘密が、じわじわと浮かび上がってくる。その過程で、登場人物たちの言動がすべて意味を持つようになっていく快感を味わえる。 管理職という立場で日々様々な人間関係を見てきた身からすると、「平凡な家族など、この世に一つもない」というテーマは特に刺さる。表面的には普通に見える同僚たちの背後にも、複雑な事情や葛藤があるんだろうなと思わせられる。本当の真実がどこにあるのか、登場人物たちですら気付いていない部分を加賀がどう引き出していくのか、その過程がたまらなく興味深い。 直木賞受賞後の執筆とは思えないほど、創作のエネルギーが感じられる。気軽に読み始めたつもりが、一気読みしてしまった。このシリーズはやはり傑作である。