リバース
講談社 | 2017/03/15
みんなの感想
最近、書店で話題になっていた本書をようやく読み終えました。湊かなえ作品には定評がありますが、本作もその期待を裏切りません。 平凡なサラリーマンと女性の出会いから始まる物語は、一見するとありふれたラブストーリーのようですが、そこに隠された「闇」が徐々に浮かび上がってくる緊張感が素晴らしい。深瀬という主人公の心理描写が丁寧で、罪悪感と現在の幸福の間で揺れ動く姿が、私たちの心の奥底にある複雑さを見事に映し出しています。 何が興味深いかといえば、この小説が単なるサスペンスではなく、人間関係における信頼と秘密のテーマを深く掘り下げている点です。教職にある身として、生徒たちもまた多くの秘密を抱えて生きていることを改めて考えさせられました。 文庫版という手頃なサイズも良く、通勤時間にぐんぐん引き込まれていく没入感。現在進行形で「何が起きるのか」という期待感を保ちながら読み進められる構成は、この著者の筆力の証だと感じます。
慎重に選んだ一冊だったが、その判断は間違っていなかったと感じた。 本作は平凡なサラリーマンが、ある女性との出会いで人生が大きく変わる物語だが、その転換点が想像を遥かに超えていた。告発文という仕掛けで、隠された過去が徐々に明かされていく構成が秀逸だ。深瀬というキャラクターの心理描写は丁寧で、自分のような年代の男性にも共感しやすい。何度も人生をやり直したいと思ったことのある誰もが、この葛藤に引き込まれるだろう。 題名の「リバース」が単なる逆転劇ではなく、深い意味を持つことに気づくのは読み進める中盤以降。その仕掛けの見事さに、思わず息を飲んだ。文庫本という手頃なサイズながら、物語の重量感は相当なものがある。 完全に満足とはいかない部分も若干あるが、このクラスの作品は今の出版界ではなかなかお目にかかれない。迷っている方がいるなら、確実におすすめできる一作だ。
映画化作品ということで期待を込めて読んでみました。ミステリーサスペンス的な要素があるということだったので、ドキドキしながら手に取ったんですが…正直なところ、特別に惹きこまれることはありませんでした。 ストーリーの進み方が淡々としていて、登場人物たちの心理描写も浅い印象を受けます。主人公の「隠された闇」という大事な要素があるのに、その重みが伝わってこないというか。漫画やライトノベルで慣れた読者としては、もっとドラマティックな展開を期待していたのかもしれません。 文章は読みやすくて、それは良かった点です。ただ全体的に、物語として何か物足りない感じが最後まで残ってしまいました。映画版の方が面白いのかもしれないな、と思わせられてしまったのは正直なところです。 決して悪い作品ではないんですが、わざわざ本で読む必要があったか疑問に感じてしまいました。同じ著者の他の作品の方が評判が良いようなので、次はそちらを試してみるかもしれません。