時の家

時の家

鳥山 まこと

出版社:講談社 出版年月日:2025/10/23

講談社 | 2025/10/23

3.50
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

芥川賞受賞作ということで手に取ってみたんですけど、予想以上に引き込まれました。一軒の家を舞台に、三代の住人たちの人生が層のように積み重なっていく構成がすごく上手いんです。 建物そのものが記憶を持つ存在として描かれているのが印象的。壁や窓、階段といった空間が、そこに生きた人たちの想いや時間を静かに抱き込んでいく様子が、まるで呼吸しているみたいに感じられます。推薦文にもあった「物質が語る」というのは本当その通りで、モノを通して語られない感情や後悔が浮かび上がってくる。 ちょっと回想シーンが多くて、最初は時系列を整理するのに手間取りましたが、読み進むうちにそれが作品の狙いなんだなって理解できます。完成度が高いというのも納得。特に終盤の仕掛けは、これまでの積み重ねが一気に意味を持つ感じで素敵でした。 気軽に読むというより、じっくり向き合う必要がある本ですけど、そういう読書も好きな人なら絶対おすすめです。

感想

芥川賞受賞作ということで手に取ってみました。一軒の家を舞台に、そこに暮らした三代の人たちの記憶や思いが浮かび上がるという設定は、なかなか興味深いですね。 読んでいて、家という物質を通じて人間の時間が積み重なっていく様子が丁寧に描かれているなという印象です。建築文学という言葉通り、建物そのものが物語の語り手になっているような感覚がありました。 ただ正直なところ、私にはすこし難しく感じる部分も多くて。表現が洗練されているのはわかるのですが、登場人物たちの思いがぼんやりと見えるような書き方で、時々何が起きているのか掴みにくくなってしまいました。若い頃なら違ったかもしれません。 話題の作品だし、せっかく芥川賞の受賞作を読もうという気になったのですから、じっくり向き合って良かったと思います。ただ私のような気軽に読みたい派には、もう少し素直な物語展開だと嬉しかったかな、というのが本音です。

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