星を編む
講談社 | 2026/07/15
みんなの感想
『汝、星のごとく』を読んで以来、この物語の世界にずっと心が留まっていました。あの作品で完結していると思っていたのに、まさか語られていなかった側面がこんなにも深く、豊かに存在していたなんて。 本書は三つの異なる視点から、あの物語を支えていた人たちの内面を丁寧に描き出しています。特に印象的だったのは、自分たちの役割に徹しながらも、密かに愛を抱えていた登場人物たちの存在。会社員として毎日を過ごす私たちだからこそ、彼らの葛藤や覚悟がひしひしと伝わってきます。 編集者の物語では、才能を形にするために奔走する二人の姿に何度も目が熱くなりました。職業柄か、自分たちの仕事が誰かの人生にどう影響するのか、そうした繋がりの大切さを改めて感じさせられる内容です。 前作を読んでいることが前提になっていますが、それだけの価値は十分にあります。慎重に選ぶ私でも、これは迷わずお勧めできる一冊です。
前作『汝、星のごとく』を読んで心に残った余韻が、この続編でさらに深まりました。当初は、完結した物語に続編が必要なのか疑問を抱いていたのですが、読み進めるうちにその考えが変わりました。 本作は前作では語られなかった三つの物語を通じて、登場人物たちの人生のその先を丹寧に描いています。特に「春に翔ぶ」で北原の過去が明かされる場面では、ぐっと心を掴まれました。彼がどのような想いを抱きながら生きてきたのか、その重みがよく伝わってきます。また「星を編む」での編集者たちの奮闘は、人生において他者とどう関わり、互いに支え合うのかという普遍的なテーマについて考えさせられました。 著者の描く登場人物たちは、誰もが自分だけの星を求めて懸命に生きています。その姿勢に共感できる部分が多く、54歳という人生の時間を重ねた自分だからこそ感じられる味わいがあるように思います。もう一度前作と合わせて読み返してみたくなる、そんな作品です。
『汝、星のごとく』が本屋大賞を受賞した時点で、この続編的作品は必ず読まなければと思っていました。同じ世界観の中で描かれなかった物語を集めた短編集という構成に、最初はかなり期待していたのですが……。 収録された三つの物語は、前作のキャラクターたちの背景や心情を補足する役割を果たしています。特に教師・北原の過去や編集者たちの葛藤を描く部分は、職場の人間関係で悩むことが多い私にも響くところがありました。ただし、前作を読んでいることが必須条件という感じが強く、単独作品としての完結性には欠ける印象を受けました。 また、想像していたほどの新しい発見や感動がなかったというのが正直なところです。前作で十分に物語として完成していたからこそ、これ以上の補足が必要だったのか、疑問が残ります。文庫化されたこのタイミングで手に取りましたが、あえて優先順位を上げてまで読む必要はなかったかな、という感覚です。 話題作だからこそ期待値が上がりすぎたのかもしれません。
『汝、星のごとく』を読んだ時点で、この世界観にすっかり引き込まれていたので、続編的な位置付けのこの作品は必然的に手に取ることになった。結論から言うと、正解だった。 本編では語りきれなかった三つの物語が並行して進むという構成は、最初は複雑に感じるかもしれない。だが、読み進むうちに各エピソードが独立しつつも有機的に繋がっていく様子が見えてきて、そこが実に巧妙だ。エンジニアとして複数のシステムの相互作用を見るような感覚に近い。 印象的だったのは「星を編む」の章だ。編集者という職業が、才能を発掘し磨き上げていく過程が丁寧に描かれている。職業人として、こういった創作の現場での葛藤や喜びを知ることは、自分の仕事観を考え直すきっかけになる。 ただ、本編ありきの作品という性質上、前作未読だと入りにくい可能性は否めない。後付けのエピソードという側面から、やや物足りなさを感じるシーンもあった。それでも、星という象徴をめぐる「愛」の形を、多角的に掘り下げた試みは十分な価値がある。 エッセイ的な深さと小説の構成美を兼ね備えた一冊だ。
『汝、星のごとく』の続編ということで、前作を読んでいる読者向けの構成だと事前に理解して手に取りました。その判断は正解だったと思います。 前作では描ききれなかった三つの視点から、同じ世界を別の角度から照らす—プログラムの複数の処理を追うような感覚に近いかもしれません。「春に翔ぶ」では北原という教師の隠された過去が、「星を編む」では編集者たちの職業的使命感が、それぞれ丁寧に紡がれていきます。 特に仕事を通じた人間関係の描写が秀逸でした。編集者という職業への向き合い方が、エンジニアとして働く自分にも響くところが多くありました。才能を引き出すことの難しさと喜び、それが相手にもたらす影響—その複雑さが実感を持って描かれている。 ただし、前作なしにこれだけを読むことはお勧めしません。章立ての構成や背景の理解に若干の困難が生じるでしょう。順序を守って読む価値のある作品です。前作ファンであれば、さらに深い物語の層が見えてくる仕上がりになっています。
『汝、星のごとく』の続編ということで期待して読んだんですが、正直なところ少し物足りなさを感じました。本編で十分に描かれた世界観を、さらに掘り下げるはずの外伝という位置付けなのに、どれもこれも表面的というか…キャラクターの深掘りというより、ただ番外編を用意した感じがしちゃって。 特に「星を編む」の編集者たちの話は、本編を読んでいない人には意味不明だろうなって思いました。前作ありきのスピンオフ的な作品だからしょうがないのかもしれませんが、それなら独立した物語としてもう少し完成度を高めてほしかった。各編がちょっと短くて、もやもやしたまま終わってしまう感覚。 ただ、登場人物たちを別の角度から見られるのは悪くなかったです。愛情の形について、いろんなバリエーションが示されている点は素敵だと思います。でも全体的には「本編の補足」という枠を出きれていない印象で、単体として評価すると微妙かな…という感じです。本編が好きな人向けの作品ですね。
本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』の続編という位置づけながら、前作では語られなかった三つの視点から物語を紡ぎ直す—この構成に惹かれて手に取った。 読んでみると、これは単なる続編ではなく、同じ世界を異なる角度から照らす作品だと気づかされる。編集者たちの葛藤を描いた「星を編む」は特に秀逸で、才能を世に出すために心血を注ぐプロフェッショナルの姿勢が丁寧に描かれている。仕事を通じて何かを成し遂げようとする大人の営みに、思わず共感してしまった。 各エピソードが前作の登場人物たちとどう繋がっているのか、そして自分たちの星がどう輝いていくのかを追い続ける喜びがある。四十代になると、青春時代に好きだった作品の続きを読むことの幸福感が一層深まる。島尾伸三は確かに話題の作家であり、この充実した文章世界にはまるのも納得だ。仕事の合間に何度も手に取りたくなる、そんな良質な読書体験だった。
『汝、星のごとく』をまだ読んでないまま手に取ってしまったんですが、これが大正解でした。本編で語りきれなかった3つのエピソードを通して、登場人物たちの「本当の想い」が丁寧に描かれているんです。 特に印象的だったのは「星を編む」の章。編集者たちが作家を支える過程が、こんなに美しく、こんなに泥臭いものだったとは。才能を磨くって、誰かの信頼と努力の積み重ねなんだなって改めて感じさせられました。 各エピソードが独立しながらも繋がっていく構成も秀逸。読み終わったあとに「ああ、この人たちの人生はここから先も続いていくんだ」って思わせてくれる余韻が素敵です。短編集というより、本当は1つの大きな物語を見ているような感覚。気軽に読める文庫本なのに、心に残る話ばかり。本編も絶対読みたくなりました。
『汝、星のごとく』を読んで感動したので、続編となる本作を手に取りました。前作で語られなかった三つの物語という構成に、登場人物たちの運命がどう交差するのか期待していたのですが、正直なところ読み終わった時の印象は複雑です。 各篇ともそれなりに丁寧に描かれていて、キャラクターへの愛情は感じられます。特に編集者たちの情熱を描いた「星を編む」は、職業的な誠実さが伝わってきて素敵でした。ただ、前作の衝撃と余韻があるだけに、本作は少し散漫に感じてしまいました。補完という役割を果たすことで精一杯で、独立した物語としての強さに欠ける印象です。 前作と合わせて読むことで完成する世界観という設定は理解できますが、それなら最初から一つの作品として完結させてもよかったのではないか、という思いも残ります。決して駄作ではないのですが、期待値との相違が三つ星評価に落ち着いた理由かもしれません。前作ファンなら読む価値はありますが、無条件にはお勧めしにくい一冊です。
『汝、星のごとく』を読んだ時点で、この続編の存在は知っていましたが、本当に「続編」として機能するのか少し懐念していました。しかし、手に取ってみると、その心配は完全に払拭されました。 前作では描ききれなかった三つの物語が、それぞれ独立した輝きを放ちながらも、全体として一つの大きな構図を形作っています。特に「星を編む」の編集者たちの視点は新鮮でした。創作に携わる人間たちの葛藤と執念が、私たち会社員にも通じるものがあり、ぐっと引き込まれました。 重要なのは、本書が単なる外伝ではなく、前作の物語にさらなる深みと意味をもたらしているという点です。櫂と暁海の関係の先にあるもの、北原という人物の過去——それらが静かに、しかし確かに響いてきます。 文章の質感も相変わらず上質で、瀬戸内の風景や人物の心理描写に引き込まれます。会社帰りに読み進めると、いつもより頭がクリアになった気さえします。前作を読んでいることが大前提ですが、あの世界をもう一度深く味わいたい方には心からお薦めできます。
『汝、星のごとく』の本編では語りきれなかった物語をまとめた作品ということで、手に取ってみました。前作ファンだからこそ、登場人物たちの運命の先をもっと知りたかったんです。 「春に翔ぶ」「星を編む」「波を渡る」の三つの物語を読み進めるにつれて、本編では脇役だった人たちの内面が立体的に浮かび上がってきます。特に編集者の視点から描かれた「星を編む」は、創作現場の息遣いが感じられて面白い。誰もが何らかの星を抱きながら生きているという共通テーマが、三つの物語を通じて繰り返され、深まっていく構成がみごとです。 完結してほしくない、でも完結してほしい―そんな相反する感情を抱えたまま読み終わりました。主夫業の合間に一息つきながら読むのに、丁度いい長さの短編集でもあります。前作と合わせて何度も手に取りたくなる、そんな優しさに満ちた作品です。
『汝、星のごとく』を読んだ後、どうしてもこの続編が気になって手に取りました。前作では描ききれなかった三つの物語という触れ込みでしたが、本当にその通り。各話で異なる視点から「愛」というテーマに向き合う構成が素晴らしい。 特に「星を編む」の編集者たちの物語は、同じ教育の現場にいる身として共感することが多かった。才能を引き出すために奔走する姿勢、その過程での葛藤や喜び。職業は違えど、人を支える仕事の本質が丁寧に描かれているんです。 北原という教師の過去も興味深く、教え子との関係が複層的に描かれているところが面白い。表面的な人間関係だけでなく、その奥にある想いまで掬い上げようとする姿勢を感じます。 ただ全体的には『汝、星のごとく』ほどの爆発力はないかな、という印象は否めません。でも短編集として読むと、それぞれが完成度高く、前作とは違う味わいが楽しめます。朝の準備時間に少しずつ読む、そういう気軽な楽しみ方が似合う一冊だと思いました。
第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』のスピンオフということで、期待半分の気持ちで手に取りました。率直に言うと、その期待を大きく上回る傑作でした。 本編では語り尽くされなかった三つの物語が、これほどまでに深い余韻を残すとは。特に「星を編む」の編集者たちの奮闘の姿には、自分自身の管理職経験と重なる部分が多々ありました。才能を引き出し、育成し、時には厳しく導く——その営みの尊さがしみじみと伝わってきます。 各エピソードが本編とじっくり結びついていく構成も見事。登場人物たちの人生が星のように輝き、時に交わり、時に遠く離れていく。その儚さと美しさのバランスが絶妙です。文庫本という手軽なフォーマットながら、読み終わった後の満足感は相当なもの。 話題作の続編としての役割を果たしつつ、完全に独立した物語としても成立しているところが素晴らしい。本編未読の方にもお薦めできますし、本編を愛読した方ならなおさら。現代日本文学を代表する一冊だと確信しています。
『汝、星のごとく』が本屋大賞を受賞した時から気になっていて、やっと手に取れました。正直、前作を読んでない状態での読了だったんですが、それでも十分に引き込まれました。 この作品は前作で語りきれなかった三つの物語で構成されているのですが、それぞれが独立しながらも見事に繋がっていく構成が秀逸です。特に「星を編む」の編集者たちの情熱的な描写には、新社会人の自分も共感できるところが多かった。才能を引き出すために全力で向き合う姿勢って、職種は違えど心に響くものがあります。 各編の登場人物たちがみんな何か光を持っていて、それぞれが自分の星を探し、時には他者の星を照らそうとしている。そういう人間関係の絡み合いが本当に美しく書かれているんです。読み進めるたびに「人ってこんなに素敵なんだ」って思わされました。 文庫版で手軽に読める点も嬉しい。話題作だからこそ手に取ってみた部分もありますが、期待以上の出来栄えでした。前作も早く読みたくなっています。