蛇にピアス
集英社 | 2006/06/01
みんなの感想
芥川賞受賞作ということで、少し腰が引けながらも手にとってみました。身体改造という一見奇異なテーマですが、読み進めていくうちに、それが単なる装飾ではなく、自分の存在を確認するための必死の営みなのだということが伝わってきます。 主人公ルイの心情の揺らぎが丁寧に描写されており、恋人アマとの関係、刺青師シバさんとの微妙な距離感など、人間関係の複雑さが巧みに表現されています。正直なところ、最初は内容が難しいのではないか、気持ち悪さが先立つのではないかという不安がありました。しかし実際に読んでみると、そうした懸念は払拭されました。むしろ、都市に生きる若者たちの孤独感や自己認識の問題について、深く考えさせられます。 文体も洗練されていて読みやすく、短編のようなコンパクトさながら、かなりの深度を持った作品です。最後のページまで手を休められませんでした。芥川賞受賞作の評判は伊達ではないと実感した一冊です。慎重な私でも満足できる傑作だと思います。
芥川賞受賞作ということで、ちょっと背伸びして読んでみたんですけど…正直なところ、期待と現実のギャップを感じちゃいました。 身体改造とか、ちょっと危ない世界観は確かに引き込まれるんです。主人公ルイの心理描写も細かくて、ここまで執着できる人間ってすごいなって思う。でも読み進めていくと、同じような心理の揺らぎの繰り返しに感じられて、途中からちょっと単調に感じちゃったんですよね。 漫画やラノベのほうが、こういう独特の世界観を短くコンパクトにまとめてくれるから好きなのかなって、改めて気づかされました。文学作品ですごく深い…というわけではなく、かといって娯楽小説として軽くも読めない、みたいな微妙なポジションにある作品だった印象です。 その時の気分次第では評価も変わりそうですが、今の自分には「可もなく不可もなく」という感じ。賞を取った作品だから読む価値はあると思いますけど、万人にはオススメしにくいかな。
話題の芥川賞受賞作ということで、図書館で借りてみました。正直なところ、かなり衝撃的な内容です。身体改造という一見マイナスに見えるテーマなのに、主人公ルイの視点から読むと、それがどれほど純粋な自己表現なのかが伝わってきます。 登場人物たちの関係性がすごく複雑で、恋人アマとの間に入るシバさんという存在が、単なる悪役ではなく、ルイを惹きつける何かを持っている。その引力に吸い寄せられていく心理描写が本当に上手いなと感じました。 ページをめくる手が止まらなくなるほどの没入感があって、短編のようにコンパクトながらも、人間の欲望や執着みたいなものが凝縮されている感じ。読後は思わず深呼吸してしまいました。 重いテーマを扱いながらも、決して説教的じゃないところが良いです。読む人によって感じ方が変わるだろうし、そういう奥深さがあるから受賞したんだろうなと納得できました。もう一度読み返してみたい作品です。
話題作だということは前から知っていたけれど、ここまで強烈な世界観だとは思いませんでした。身体改造という、一見するとアンダーグラウンドな題材なのに、そこに恋愛の揺らぎや人間関係の複雑さがこんなに丁寧に描かれているなんて。 主人公ルイの心の動きが本当に繊細に紡がれていて、ついつい引き込まれてしまいます。ピアスや刺青といった身体への装飾が、単なるファッションではなく、自分らしさを求める葛藤の表現なんだと気づかされました。恋人アマとの関係、そしてシバさんという魅力的な大人との関わり方を通じて、どんどん変わっていく主人公の気持ちが、不穏だけど目が離せない。 49歳にもなると、若い時代には理解できなかった感情もいろいろ見えてくるものです。この本は世代を超えて、人が誰かに惹かれ、迷い、葛藤する様子をこんなにも鮮烈に表現できるんだと改めて感じさせてくれました。芥川賞作品は外れがないという評判も納得です。気軽にとは言えないかもしれませんが、一度は読んでおく価値のある一冊だと思います。