みかづき

みかづき

森 絵都

出版社:集英社 出版年月日:2016/09/05

集英社 | 2016/09/05

3.50
本棚登録:6人

みんなの感想

感想

昭和から平成にかけての教育業界を舞台にした作品だと聞き、手にとってみました。三世代の人生が塾という題材を通じて描かれるという触れ込みだったからです。 読んでみると、確かに壮大なテーマ設定ですね。学校教育への疑問から塾を立ち上げるという動機も興味深い。ただ、正直なところ、全体的には「よくある家族経営の成功物語」という印象を拭えませんでした。 長編だからこそ、各世代のドラマに深みがあるのかと期待していたのですが、その点では少し物足りなさが残ります。教育者としての葛藤や、時代とともに変わる塾のあり方など、掘り下げられる要素は多いはずなのに、やや表面的に感じられました。 とはいえ、きちんと構成された作品であることは間違いありません。同じテーマに関心のある方や、長編小説をじっくり読む時間がある方には良い選択肢かもしれません。ただ、個人的には、もう一歩踏み込んだ人物描写があれば、より強く心に残ったと思います。

感想

話題になっていたので手に取った一冊です。昭和36年から平成にかけて、学習塾の経営を通じて教育に向き合い続ける大島家三世代の物語。商売人として長年自営業をしてきた身としては、この家族の苦労と決断がよく理解できました。 塾という存在が時代とともにどう変わっていくのか、そして親から子へ、孫へと受け継がれていく想いや葛藤が丹念に描かれています。学校教育への疑問から始まった創業の精神が、果たしてどこへ向かうのか。その問い自体が実に興味深い。 一人の人生でも大変なのに、三世代にわたる物語ですから相応のボリュームがあります。しかし退職後の今だからこそ、このような大作を読む時間的余裕を持てるのは幸せなことですね。時間をかけて読む価値のある作品です。教育者、親、経営者など、様々な立場で人生と向き合う人物たちの描写に引き込まれました。現代にも通じる課題を問いかけてくる良い小説だと思います。

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