シリアの家族

シリアの家族

小松 由佳

出版社:集英社 出版年月日:2025/11/26

集英社 | 2025/11/26

3.00
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

開高健ノンフィクション賞受賞作、話題の作品ということで手に取ってみました。シリアの政治情勢と一家族の生活を並行して描くというコンセプトはとても興味深く、選考委員の先生方の絶賛の言葉も魅力的です。 ただ正直なところ、読み進めるのに苦労しました。重いテーマであることは承知していましたが、描写の密度が濃すぎて、途中から感情移入が難しくなってしまったのです。著者が伝えたいメッセージは十分に感じられるのですが、一般的な読者にとってはやや敷居が高い。背景知識がないと物語に浸りきれない場面が多々あり、そこが引っかかりました。 もちろん、これだけの重要な証言を文字として残された著者の功績は大きいと思います。むしろ、この本を通じて多くの人がシリアの現実に目を向けるきっかけになればいいなと。ただ個人的には、もう少し物語としての読みやすさと奥行きのバランスが欲しかったというのが率直な感想です。

感想

開高健ノンフィクション賞の受賞作ということで手に取ってみました。正直なところ、シリアという遠い国の話だからどうだろうと思っていたのですが、開いてみたら一気に引き込まれてしまいました。 著者が描く家族の物語は、とにかく人間らしい。政治的な対立や歴史的背景があるのに、そこに登場する人たちは皆、迷い、苦しみ、時には笑う等身大の人間として活き活きと描かれているんです。選考委員の評価の通り、秘密警察だろうが兵士だろうが、みんなどこかで誰かの親であり子どもなんだという当たり前だけど忘れやすい事実が、この本を読むとしみじみと感じられます。 複雑な歴史背景も丁寧に織り交ぜられているので、難しく感じることもなく、むしろシリアという国への理解が自然に深まっていきます。嘱託の身になって時間ができた今だからこそ、こういう奥行きのある物語をじっくり読む良さを改めて実感しました。気軽に読める本ではありませんが、読む価値は十分ある一冊です。

感想

開高健ノンフィクション賞を受賞した作品ということで、期待を持って手に取りました。著名な選考委員の先生方の推薦文も素晴らしく、これは深い感動を得られるだろうと思っていました。 実際に読んでみると、シリアの複雑な政治状況の中で生きる家族の姿が、丁寧に描かれていることは確かです。著者が関わった人間たちを等身大で捉えようとする姿勢は真摯で、その努力は伝わってきます。 ただ、個人的には少し距離を感じてしまいました。シリアという私たちにとって遠い国の、複雑な背景を理解しようとするあまり、物語としての没入感に欠ける部分があったのです。もっと一つの家族に深く寄り添う視点か、あるいはより広い視点からの整理か、どちらかに振り切った方が、読み手としては入り込みやすかったかもしれません。 ノンフィクションとしては良質な作品だと思いますが、私のような読み手には、ここまで大きな話題にはならなくても良かったという正直な感想です。世界情勢に興味がある方には、きっと素晴らしい一冊になるでしょう。

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