サラバ!(上)

サラバ!(上)

西 加奈子

出版社:小学館 出版年月日:2014/10/29

小学館 | 2014/10/29

4.50
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

西加奈子さんの作品は前から気になっていたんですが、この『サラバ!』はついに手に取ってみました。主人公が1977年のイランで生まれ、その後も大阪、エジプトと世界を舞台に成長していく――こういった設定だけで、もう引き込まれてしまいます。 自営業をやってきた身として、海外を転々とする人生というのは本当に興味深い。親の事情に翻弄されながらも、その中で何かを学び取っていく主人公の姿を読んでいると、人生ってやっぱり予測不能だなと改めて感じさせられます。エジプトで待ち受けているという「ある出来事」が、本当に大きな転機になるのかと、つい先が気になってしまう。 文章も読みやすくて、ぐいぐいと物語に入り込める感じです。長編ですけれど、こういう冒険的な人生の話なら気軽に読み続けられるタイプの本だと思います。上巻を読み終わった今、下巻が待ち遠しくてなりません。人生経験を積んだ年代だからこそ、響く部分がたくさんあります。

感想

西加奈子の記念作品ということで、かねてから気になっていた『サラバ!』をようやく手に取った。予想通り、素晴らしい作品だった。 主人公・圷歩がイラン、エジプト、そして日本へと移り住む経験を通じて成長していく物語だが、単なる海外生活の記録ではない。異文化の中で揺らぎ、時に傷つきながらも、自分の足で立っていこうとする若者の内面が見事に描かれている。 特に印象的なのは、著者が異なる土地や文化との出会いを、決して観光的な視点で捉えていないという点だ。そこに生きる人間の複雑さ、葛藤、喜びが丁寧に織り込まれている。58年生きてくると、人生の岐路がいくつもあったことに気づくが、この作品を読んでいると、そうした決定的瞬間の重みが改めて伝わってくる。 上巻の終わり方も秀逸で、下巻への期待が膨らむ。この年代だからこそ共感できる部分も多い。話題作として注目されるのも納得の傑作だ。

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