アルプス席の母

アルプス席の母

早見 和真

出版社:小学館 出版年月日:2024/03/15

小学館 | 2024/03/15

3.80
本棚登録:7人

みんなの感想

感想

高校野球小説というと、どうしても選手目線のものが多いと思っていたけれど、この作品は親の視点からその世界を描いているんですね。母親・秋山菜々子が息子の夢を応援するために大阪に移住するというストーリーに、最初は少し意外性を感じました。 読み進めてみると、息子の成功を後押ししたいという母親の気持ちと、実際に直面する現実のギャップが丁寧に描かれていて、とても引き込まれました。親として子どもの夢にどう向き合うのか、その葛藤と覚悟が、真摯に、時にはユーモアを交えて表現されているんです。公務員をしながら仕事と家庭の両立を考えることが多い自分にとって、とても他人事とは思えない部分が多くありました。 甲子園という大きな目標に向かって、母子で一緒に歩んでいく過程。その中での小さな喜びや悔しさ、親として揺らぐ心情。こういう「生きることの屈託」を感じさせてくれる小説は、気軽に楽しみながらも、心に残るものがあります。新しい切り口の野球小説、ぜひ多くの人に読んでほしいです。

感想

高校野球小説というと、どうしても選手目線の話ばかりだと思い込んでいました。でも『アルプス席の母』は違った。息子の夢を追いかけるために、見知らぬ土地へ移り住んだ母親の視点から描かれています。 主人公の菜々子さんが直面する葛藤がとにかくリアル。新しい環境への不安、親としての迷い、そして厳しい父母会のルール。これって、子育てしながら何かを成し遂げようとしている私たちの気持ちそのものです。野球という題材を通じながらも、本当に描きたいのは「生きることの屈託」という帯の言葉がぴったりでした。 息子と母親の関係性も素敵。応援することと突き放すこと、その難しいバランスを揺らぎながら模索していく過程が心に残ります。スポーツ小説として熱い場面もありながら、温かみのある物語になっているところが好きです。気軽に読める長さながら、読み終わった後に「頑張ろう」って思わせてくれる一冊。子育て中の方にこそ手に取ってほしいですね。

感想

SNSで話題になっていたので、どんな作品なのか気になって手に取りました。高校野球小説というと、選手視点のものがほとんどなのに、この作品は母親目線。それが本当に新鮮でした。 息子の夢を応援するために、見知らぬ土地で一緒に歩む母親の覚悟と葛藤が丁寧に描かれています。子育てをしている身として、親の心情の複雑さが本当によく伝わってくるんです。応援したい気持ちと、息子が苦しむのを見守る辛さ。親なら誰もが感じたことのある感情が、ここまで深く掘り下げられた作品は珍しい。 著者が15年前の『ひゃくはち』で補欠球児を描いてから進化した視点も素敵です。人生の違う段階にある人物を主人公に据えることで、スポーツ小説でありながら、人間が生きることの本質に向き合う作品になっているんですよ。 息子さんのいる方はもちろん、自分たちの人生について考え直したい方にもお勧めです。最後まで息子との関係がどうなるのか気になって、一気読みしてしまいました。

感想

話題の新刊ということで手に取ってみたのですが、これは本当に良かった。高校野球を題材にしながら、母親目線で描く視点がいかにも新しい。 息子の夢を応援するために一緒に大阪へ移住するという設定だけで既に引き込まれてしまいました。自営業をしている身としては、人生を大きく変える決断をする覚悟というものが、ひしひしと伝わってくるんです。 著者は前作『ひゃくはち』で補欠球児の葛藤を描いたそうですが、今回の作品も同じく誰もが見落としがちな「脇役」の人生に光を当てている。甲子園を目指す選手たちはもちろんですが、その背後で揺らぎながらも支え続ける母親のリアルな心情描写が素晴らしい。不慣れな土地への不安、厳しい父母会のルール、息子の変化……こうした細部が胸に迫ってきます。 年を重ねるにつれて、親として子どもの人生にどう向き合うかということは、他人事ではなくなってきました。この小説は単なるスポーツ小説ではなく、深い人間ドラマとして心に残りました。多くの人に読んでほしい一冊です。

感想

高校野球を題材にした新しい視点の小説ということで、つい手に取ってしまいました。これまで選手視点の野球小説が多い中で、母親の立場から息子の夢を応援する物語というのは珍しい。その着眼点は面白いと思います。 ただ正直なところ、読み終わってみると「なるほど、そういう話か」という感じでして。母親の葛藤や親子の絆、地方移住による生活の変化といったテーマは丁寧に描かれているのですが、どれもが少し予想の範囲内におさまってしまった感がぬぐえません。補欠球児の青春を描いた前作『ひゃくはち』から15年という経歴を考えると、もっと深い何かを期待してしまったのかもしれません。 悪くはない。むしろ丁寧な作品です。でも、読んでいる最中も読み終わった後も、心に何か強く残るものがなかったというのが正直な感想。自営業で忙しい身ですから、限られた読書時間を使う本として選ぶなら、もう少し引き込まれるものが欲しかったです。

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