夜のピクニック

夜のピクニック

恩田 陸

出版社:新潮社 出版年月日:2006/09/01

新潮社 | 2006/09/01

4.50
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

本屋大賞を受賞した作品ということで、評判を見てから手に取りました。実際に読んでみると、その人気の理由がよく分かります。 高校生の一夜の歩行祭という限られた時間軸の中で、複数のキャラクターの視点から物語が進んでいくんですけど、その構成の上手さに驚きました。最初は単純な青春小説かと思っていたのに、登場人物たちの秘密や想いが徐々に明かされていく過程がすごく引き込まれます。主人公・貴子が抱える「密かな誓い」に関しても、終盤に向けてどう決着するのか気になって、つい夜更かししてしまいました。 新社会人になった今だからこそ、高校時代への郷愁や、友人との関係性の大切さが心に染みる部分も多いです。書き方も読みやすく、文庫版で手軽に読める点も良かった。もし誰かにこの本を勧めるか迷っている人がいれば、評判通りの良作だと自信を持ってお勧めできます。青春小説好きなら特に後悔しない一冊だと思います。

感想

本屋大賞受賞作とのことで手に取ってみたのですが、予想を大きく上回る傑作でした。80キロの夜通し歩行という設定だけを見ると、青春の爽やかさや友情の絆を描いた学園小説なのかと思いました。しかし読み始めると、その枠を軽々と超えている奥深さに引き込まれます。 主人公の貴子が胸に秘めた誓いと、彼女が歩行祭で何を求めているのかという緊張感が物語全体を貫いており、進むにつれてその背景が徐々に明かされていく構成が見事です。登場人物たちの会話が自然で、言葉の端々から高校生活の複雑な心理模様が浮かび上がってくる。何気ない日常の積み重ねや、友人関係の微妙なズレ、未来への漠然とした不安など、あの時期特有の感情が的確に描かれていて、技術的に優れた作品だと感じます。 エンジニアという仕事をしていると、分析的に物語を読む癖がついてしまいますが、この作品は構成の精密さと人間描写の温かさが両立している稀有な小説です。大人になった今だからこそ、高校時代に感じていた感情の複雑さが改めて理解できました。

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