ラッシュライフ

ラッシュライフ

伊坂 幸太郎

出版社:新潮社 出版年月日:2005/05/01

新潮社 | 2005/05/01

4.67
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

話題になっていたので手に取った『ラッシュライフ』。正直なところ、最初は複雑な構成に戸惑いました。泥棒、自殺した父を持つ青年、不倫相手との再婚を考える女性カウンセラー、野良犬を拾う失職した男——一見バラバラな四つの物語が、どう繋がるのか見当もつきませんでしたから。 しかし読み進めるうちに、その複雑さこそが著者の狙いなのだと気付かされました。個人の執着や葛藤、人生の歪みが微妙に交差していく様は、まさに現代社会の混沌そのもの。機知に富んだ会話や予測不可能な展開に、つい先を急いで読んでしまいます。 特に印象に残ったのは、登場人物たちが皆どこか現実離れしていながらも、妙に人間らしい執着を持っていることです。会社員生活の長い私には、そうした「ズレ」がどこか身近に感じられて、くすりと笑わされたり、ドキリとさせられたりしました。 寓話のような、騙し絵のような——その言葉通りの一冊です。重厚さと軽妙さが同居した読み心地は、なかなか味わえるものではありません。

感想

『ラッシュライフ』、面白かった。最初は四つの独立した物語が並行して進むのかと思ったけど、読み進めるうちにそれらが絶妙に絡み合っていく快感。教科書では味わえない、こういった仕掛けの妙を感じるのが読書の醍醐味だ。 登場人物たちが一見バラバラの人生を歩んでいるようで、実は深くつながっていく構造がいい。泥棒、自殺に悩む青年、不倫するカウンセラー、家族に捨てられた男――どれもどこか切実だけど、それが機知に富んだ会話と予想外の展開で次々と翻弄される。読んでいて、次は何が起こるんだろうという興奮が常に続く。 著者の筒井康隆らしい、ユーモアと哲学的な深さが両立した不思議な世界観。日常の枠を外した話なのに、妙にリアリティがある。40代になると、人生の複雑さや矛盾をより感じるようになるけれど、そういう時だからこそ、この作品の不条理さが心に届くんだと思う。気軽に読める文庫版で、こんなに知的興奮を得られるのは稀だ。

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