フィッシュストーリー

フィッシュストーリー

伊坂 幸太郎

出版社:新潮社 出版年月日:2009/12/01

新潮社 | 2009/12/01

4.00
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

文庫本の手軽さが好きなので、伊坂幸太郎さんの本は時々手に取ります。この『フィッシュストーリー』も図書館で見かけて、思わず借りてきました。 表題作を含めた四つの短編が入っているんですが、どれも設定が変わっていてね。時間を超えて繋がっていく話だとか、黒澤という人物が活躍する話だとか。読んでいて「あ、こういう仕掛けなのか」と気づく瞬間は楽しいです。最後はスッと胸のすくような終わり方になっていて、そういう爽快感は好ましい。 ただね、率直に申し上げると、全体を通して「いいな」と感じるところもあれば「ちょっと難しいな」と感じるところもあって、心がぐっと掴まれるほどではなかったんです。物語として上手く構成されているのはわかるんですが、私のような年寄りには、もう少し素直な物語の方が好みかもしれません。 78歳ですから、これ以上難しい話を追うのはなかなかね。でも伊坂さんのユニークな想像力は嫌いじゃありませんので、また別の作品を読んでみるかもしれませんね。

感想

伊坂幸太郎の作品はいつも話題になるから、この短編集も手に取ってみた。予想通り、見事に期待を上回られた。 表題作「フィッシュストーリー」は、売れないロックバンドのレコーディング風景から始まる。地味な設定だが、そこから時空を超えた壮大な物語へと広がっていく様子に引き込まれた。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」というセリフが、未来へと繋がっていく構図は秀逸だ。仕事で疲れた脳みそにはちょうどいい爽快感がある。 黒澤が活躍する「サクリファイス」「ポテチ」も傑作。特に日常の些細な出来事が、実は大きな意味を持つという仕掛けが心地よい。伊坂特有の「変幻自在」という帯の言葉通り、予想外の展開が次々と襲いかかってくる。 文庫本のサイズも手頃で、通勤電車での読書に最適。各編が短編なので、時間がない忙しい日々の中でも無理なく読み進められるのがいい。話題作の評判も納得できる一冊だ。

感想

伊坂幸太郎の作品は、その構成の巧みさで定評があるが、本書『フィッシュストーリー』はまさにそれを象徴する一冊だった。表題作を含む四つの中篇が、一見バラバラな出来事として始まりながら、最後に見事に収束していく快感は筆舌に尽くしがたい。 特に印象的だったのは、テーマとして貫かれている「何かが世界を変える」という想い。売れないロックバンドの最後のレコーディングから始まるストーリーが、遠い時間軸を越えて想像もしない形で世界と繋がっていく—その連鎖的な美しさに何度も息をのんだ。現実の仕事の日々で疲弊していた心に、こういう爽快感が必要だったのだろう。 また、黒澤というキャラクターが複数の話に登場することで、物語同士の関係性が浮き彫りになる工夫も秀逸だ。文庫本というコンパクトなサイズながら、スケール感のある世界観を作り上げている。 慎重に本を選ぶ方であれば、この作品はまず間違いなく後悔させない。エンタテインメント性と文学的な満足度が両立した、実に良い読書体験ができるはずだ。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ