52ヘルツのクジラたち

52ヘルツのクジラたち

町田そのこ

出版社:中央公論新社 出版年月日:2023/05/25

中央公論新社 | 2023/05/25

4.33
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

本屋大賞受賞作だから大丈夫だろうと、レビューをいくつか読んでから購入しました。正解でした。 52ヘルツのクジラという存在が、これほど深い比喩になるとは。世界で一番孤独だと言われるクジラのように、自分の声が誰にも届かない。そんな絶望感が、主人公たちの人生にどう重ねられていくのか——読み始めたら止められませんでした。 家族に搾取されてきた女性と虐待を受けた少年。二人は共に傷を抱えながらも、出会うことで何かが変わっていく。決して甘くない展開ですが、その中に「生きることの意味」が静かに灯っているんです。 慎重な性格なので、重いテーマを扱う作品は構えてしまう傾向があるのですが、この本は最後まで引き込まれました。子どもたちが寝た後の静かな時間に読み進めるたびに、自分の中の何かに問いかけられている気がしました。 傷と希望、孤独と繋がりーー複雑なテーマを見事に描ききった作品です。同じように人間関係で疲れている人こそ、読んでほしい一冊だと思います。

感想

本屋大賞受賞作ということで、評判を確認してからそっと手に取った一冊です。52ヘルツのクジラという設定が心に残りました。他者に届かない声を持つ生き物の比喩として、孤独な二人の人間関係を描く——その構想の美しさに、最初から引き込まれてしまいました。 貴瑚と少年の出会いと交わりを通じて、搾取されてきた人間、傷つけられてきた人間がいかにして新しい世界を見つけるのか。ボランティアをしている身として、人間関係の複雑さと、時には距離を置くことの大切さを改めて考えさせられました。重いテーマですが、決して暗くはない。むしろ、読み終わった後に静かな希望が胸に残ります。 文庫本のサイズも読みやすく、丁寧な表現の数々を何度も味わいながら読むことができました。人生経験が増してから読むことで、より深い共感が生まれる作品だと感じます。慎重に本を選ぶ方には、ぜひ一度手に取っていただきたい。後悔しない読書体験になると確信しています。

感想

本屋大賞受賞作、やっと文庫化されたのでさっそく手に取りました。正直、期待値が高すぎると肩透かしを食らうことも多いんですが、この作品は本当に素晴らしかった。 「52ヘルツのクジラ」という比喩が秀逸です。世界で唯一、誰にも聞き取られない周波数で鳴くクジラ—それは社会から取り残された人間の孤独を完璧に表現しています。貴瑚とムシという二人の登場人物の物語を通じて、家族による搾取、虐待といった重いテーマに直面することになる。重い内容なのに、どんどん引き込まれてしまう。 新社会人として働く中で、どこか社会に馴染めていない感覚を持つことって誰にでもあると思う。この本はそういった違和感や孤立感に真摯に向き合い、それでも人間は繋がることができるんだという希望を与えてくれます。涙なしには読めないシーンもありますが、読み終わった後の余韻が本当にいい。話題作だからこそ読む価値があると確信できた一冊です。

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