司馬遼太郎全集 第1巻 梟の城 上方武士道
文藝春秋 | 1973/03/29
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司馬遼太郎の全集を手にするのは、読書家として避けられない通過儀礼のようなものだ。今回、第1巻の『梟の城』と『上方武士道』を読み終えて、改めてこの作家の力量を実感した。 『梟の城』は、織豊期を舞台にした歴史冒険小説だが、単なる娯楽作品ではない。細密な人物描写と時代への洞察が絡み合い、忍びの世界を題材としながらも、人間の本質に迫る深さがある。『上方武士道』の方は、大坂の陣前後の関西武士たちの思想と行動を追った評論的エッセイで、これがまた興味深い。歴史的事実と人物心理を統合させる司馬遼太郎のアプローチには、自営業を営む身として、判断と決断のプロセスについて学ぶところが多い。 年を重ねると、歴史への向き合い方も変わる。単なる物語ではなく、人間がいかに時代と格闘したかが見えてくる。この全集、大切に読み進めていきたい一冊である。
司馬遼太郎の全集を手に取るのは初めてでしたが、迷わず第1巻から始めてみることにしました。慎重派の私としては、事前に評判をしっかり確認してからの購入です。 「梟の城」と「上方武士道」の二編が収められていますが、どちらも室町時代を舞台にした短編で、読みやすく引き込まれました。特に「梟の城」は忍者を題材としながらも、単なる冒険談ではなく、登場人物たちの内面的な葛藤が丁寧に描かれています。歴史の知識がなくても十分理解できる構成になっているのが良かった。 司馬遼太郎の筆致は想像以上に洗練されていて、時代小説というジャンルを改めて認識させられた気がします。39年生きてきて、もっと早く読んでおけばよかったとさえ感じます。ただ全集という規模の大きさと、刊行当時の表現が所々あるため、読み進める際には若干の留意が必要かもしれません。 これまで避けていた歴史小説の世界への入口として、私にとって最適な一冊になったと思います。
司馬遼太郎の全集を手に取るのは初めてでしたが、期待と現実のギャップを感じずにはいられません。 収録されている「梟の城」は、戦国末期の忍者たちの運命を描いた作品で、緻密な時代背景と人物造形に司馬遼太郎らしさが現れています。ただ、正直なところ、この巻に関しては傑作とまでは言い難いというのが率直な感想です。物語としてはしっかりしていますが、後年の代表作と比べると、何か物足りなさが残ります。 「上方武士道」の方は思想的な深さがあり、武士道という日本文化の根底にある価値観を言語化しようとする試みは興味深い。ただ論考としては若干散漫で、読み進めながら「ここはもっと掘り下げてほしかった」と思う箇所が複数ありました。 家事の合間に読む時間をやり繰りして手にした一冊だからこそ、より充実した読書体験を期待していたのかもしれません。司馬遼太郎の全集は他巻も含めて、もう少し吟味して選ぶべきだったかなと感じています。基礎的な歴史知識がある読者なら、より高い評価を与えられるのではないでしょうか。
司馬遼太郎の全集に手を出すのは今回が初めてだったのですが、これは大正解でした。「梟の城」と「上方武士道」の二編が収録されているこの巻ですが、どちらも戦国の空気感がものすごく生き生きしていて、ページをめくる手が止まりませんでした。 特に「梟の城」は、忍者という一見華やかに見えるけれど実は悲劇的な存在を、これほど深く、そして優しく描いた作品があるだろうかと思わずにはいられません。登場人物たちの内面の揺らぎや葛藤が、軽くなりすぎず重くなりすぎず丁度いいバランスで描かれています。 司馬遼太郎の筆力は本当に凄いなと感じました。歴史小説ってもっと難しく堅いものだと勝手に思い込んでいたんですけど、これを読むとそんな先入観は一瞬で吹き飛びます。歴史の知識がなくても十分に楽しめますし、むしろ物語の世界に自然に引き込まれていく感覚が最高です。 これをきっかけに司馬遼太郎の他の作品もどんどん読みたくなっちゃいました。次は何を読もうか、既にワクワクしています。