風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート

森絵都

出版社:文藝春秋 出版年月日:2009/04/10

文藝春秋 | 2009/04/10

4.50
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

直木賞受賞作ということで手に取ってみたのですが、これは本当に素敵な短編集ですね。六つの物語それぞれに登場する人物たちが、世間一般の「成功」や「効率性」とは異なる価値観を大切にしながら生きている姿が印象的です。 管理職として日々、数字や結果を追い求める立場にいる身としては、この作品たちが描く「お金より大切な何か」という問いかけが胸に響きました。パティシエの気まぐれに付き合う主人公、犬のボランティアのために水商売を選ぶ人物——一見すると不器用で、社会的には評価されにくいかもしれない選択肢を、著者は温かいまなざしで見つめています。 特に印象に残ったのは、人間関係や人生の選択に対する描き方の繊細さです。決して理想化せず、葛藤や困難も丁寧に描かれているからこそ、その先の「懸命に生きる」という言葉に重みが生まれるんだと感じました。 50代を迎えて改めて思うことが、この物語たちの中にたくさん詰まっているような気がします。疲れた時に読み返したい、そんな一冊になりました。

感想

正直に言うと、最初はこの本を選ぶのに結構迷いました。普段は漫画やラノベばかり読んでる自分にとって、短編集の文学作品って少し敷居が高く感じてたんです。でも直木賞受賞作というのと、書評サイトでの評判の良さに惹かれて思い切って読んでみることにしました。 結果として、この決断は大正解でした。各編で描かれる登場人物たちが、みんなお金では測れない何かのために必死に生きている姿が、本当に心に響きました。パティシエの話では才能に翻弄される主人公の葛藤が、難民支援の話では夫婦関係の複雑さが、それぞれ深く考えさせられます。 何より驚いたのは、難しい内容なのに物すごく読みやすいということ。流れるような文章で、一気に引き込まれてしまいました。高専の課題で忙しい日々の中でも、この本の世界観に浸ってしまうほどです。 人生観が変わるような大げさなことじゃないかもしれませんが、「大切なことって何だろう」って素直に考えられる本。迷ってる人にも自信を持ってお勧めできます。

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