暗いところで待ち合わせ

暗いところで待ち合わせ

乙一

出版社:幻冬舎 出版年月日:2002/04/11

幻冬舎 | 2002/04/11

3.80
本棚登録:7人

みんなの感想

感想

駅での殺人事件から始まる、ちょっと変わった物語。追われる身となった男性と、他人との関わりを避けて生きてきた女性が同じ屋根の下で暮らすことになるという設定が面白そうだったので手に取ってみました。 二人の関係性の変化を追っていくのは悪くないんですけど、正直なところ、どこか淡々とした印象を拭えません。事件を巡るミステリー的な要素も、二人の心理描写も、どちらも「そこまで深く掘り下げないんだ」という感じで。物語として完結しているし、読みやすくはあるんですが、読み終わった後に心に残るものがあまりありませんでした。 公務員という比較的安定した生活をしている身からすると、こういうドラマチックな状況設定は非日常で興味深いんですけど、もう少し登場人物たちの内面に入り込めたら良かったなって思います。気軽に読むには十分ですが、何度も読み返したくなるほどの魅力は感じられませんでした。それなりに楽しめる一冊、といったところです。

感想

レビューサイトで何度も目に止まっていたこの作品、思い切って手に取ってみました。 殺人事件という重い題材なのに、読み進めるにつれて引き込まれていく感覚が印象的です。犯人とその逃げ込み先の女性という設定だけで、一般的にはサスペンスになりそうなのに、この物語が目指しているのはまったく別の場所なんだということに気づかされます。 二人の「寂しさ」が主軸になっていて、そこに向き合う誠実さが好きです。フリーランスの私も人間関係の希薄さに向き合うことが多いので、他人の気配に怯えるミチルの心情がどうしても他人事に思えませんでした。 ただ、途中からの展開が予測しづらく、解釈の幅が広がりすぎる部分は人によって感じ方が大きく分かれそう。もう一度読んでみたくなりましたが、その前に他の読者の感想も参考にしてからにしようかな、というのが正直なところです。短編ながら、考えさせられる作品でした。

感想

医療の現場で日々いろいろな人間ドラマを見ていると、この小説のような「ねじれた関係」にひどく惹かれてしまいました。駅での事件から始まる二人の出会いは、一見すると事件と犯人という構図なのに、そこから生まれるのは想像外の世界。 アキヒロとミチルという二人の孤独がじわじわと響いてきます。怖さもあるのに、どこか温かい。医療の仕事をしていると、人と人の関係の複雑さや、人それぞれが抱えている見えない痛みをよく目にします。この作品はそうした「見えないもの」をすごく丁寧に描いているように感じました。 短編のような手軽さながらも、読み終わったあと心に何か残る。新幹線の移動時間に一気読みしてしまったのですが、その後もずっと二人のことが頭を離れません。人間関係のもつれや、つながりの不思議さを感じたい方には特におすすめです。気軽に読める文庫というフォーマットも、気軽に手に取りやすくて良かった。

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