人生地理学(5)

人生地理学(5)

牧口常三郎

出版社:聖教新聞社 出版年月日:1980/01/01

聖教新聞社 | 1980/01/01

4.67
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

人生という営為を地理学的視点から問い直す本書は、実に興味深い試みだ。単なる学問的な枠組みに留まらず、私たちが日々を過ごす「場所」と「人生」の関係性を深く考察している点が秀逸である。 フリーランスとして時間と場所に相対的な自由を持つ身からすると、人生のステージごとに私たちがどのように空間を認識し、選択してきたかという問題は極めて切実だ。本書を読むことで、自分の人生経歴を改めて地理的・空間的な視点から見つめ直させられた。 著者の丁寧な論述は、難解な理論を日常的な経験へ着地させることで、人文書として最高の境地に達している。シリーズの第5巻ということで、構想全体の熟成が十分に感じられ、各章の議論が無駄なく組み立てられている。読書家として、こうした密度の濃い思想書に出会えるのは稀有な喜びである。 新書版という手軽なフォーマットでありながら、思考の深さを一切損なわない。自分の人生を相対化したい者、あるいは人文学の新しい可能性を知りたい者にとって、必読の一冊といえよう。

感想

長年ボランティアの活動をしていると、人生とは何か、地域とはどのような意味を持つのかといった問題についてよく考えるようになります。この「人生地理学」シリーズの第5巻は、そうした問い合わせに対して、実に丁寧で誠実な向き合い方を示してくれた一冊です。 著者の論考は決して難しくなく、むしろ私たちの日常生活の中にある様々な気づきが、いかに深い意味を持つのかを教えてくれます。地理的視点から人生を見つめ直すというアプローチは新鮮で、読み進めるたびに、自分自身がこれまで生きてきた場所や時間について改めて想いを巡らせることができました。 慎重に本を選ぶ習慣がある私ですが、このシリーズの評判を聞いて手にしたことは正解でした。人文学の領域として落ち着いた語り口で、けれども心に残る言葉がそこここに散りばめられています。人生の後半にある者として、これまでとこれからについて静かに考えたい時に、大切な手引きとなるでしょう。同年代の方はもちろん、人生について真摯に考えたい全ての方に、心からお勧めしたい一冊です。

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