父からの贈りもの

父からの贈りもの

長岡輝子

出版社:草思社 出版年月日:1984/03/01

草思社 | 1984/03/01

4.50
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

仕事で疲れた夜、何気なく手に取ったこの本でしたが、一気に引き込まれてしまいました。 父と子の関係を描いた作品ということで、どこか重い話になるのではないかと少し身構えていたのですが、読み進むうちにその懸念は完全に払拭されました。著者の筆致は驚くほど温かく、人生経験を積んだ大人だからこそ感じられる複雑な感情が、丁寧に、でも決して説教的にならないように綴られています。 エンジニアとして論理的思考を大事にする自分ですが、この作品の魅力は理屈では説明できない部分にあります。親世代との距離感、時間とともに変わる関係性、そして無言のうちに受け継がれるもの——そうした目には見えない「贈りもの」が、まるで映画を見るように立ち現れてくるのです。 特に印象深かったのは、登場人物たちが何気ない日常の中で互いを理解しようとする姿勢です。完璧な家族なんて存在しないという現実の中で、それでも繋がろうとする営みが描かれている。大人になった今だからこそ、その切実さが胸に響きました。 迷わず手に取ることをお勧めします。

感想

同僚の勧めで手にとった一冊です。親子関係について、これまで直視してこなかった部分に向き合わせられた気がします。 著者が父との関係を丁寧に紡ぎ直していく過程が、とても誠実に描かれています。特に、完璧な親子関係などというものは存在しないのだということが、読み進むにつれてしみじみと伝わってきました。仕事で忙しい毎日の中で、つい親との関係を後回しにしてしまう自分の姿と重なるところが多くて、何度も立ち止まってしまいました。 エッセイと小説が絡み合ったような独特の構成も効果的です。記憶と事実の曖昧さ、時間とともに変わっていく感情——そうした複雑さを作品を通じて見つめさせられます。決して重くなりすぎず、ところどころに笑いや温かさが散りばめられているのも、長く心に残る工夫だと感じました。 完璧ではありませんが、多くの人にとって何かしら響くものがある作品だと思います。特に親との関係を考え直したい方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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