衝撃を受けました。タイトルの「ハシビロコウ」という不思議な言葉に惹かれて手に取ったのですが、こんなに深い実話だとは。 弁護士という社会的地位がある人が、理不尽な取調べにどう向き合うのか。その過程がとても丁寧に描かれていて、ページをめくる手が止まりませんでした。特に、検事による人格否定的な取調べの詳細が出てくる場面は本当に息が詰まります。中学時代の成績表を持ち出して揶揄するって...こんなことが日本の司法の現場で起きているのか、と驚きました。 エンジニアとして論理的に物事を考える癖がある私だからこそ、この本の主張がものすごく響いたんだと思います。事実と証拠に基づかない取調べの矛盾が、淡々と記述されていく様が、むしろ検察側の異常さを際立たせていて、非常に説得力がありました。 家族への思いも含めて、尊厳を守ろうとする姿勢に感動しました。「普通の人」がこういう状況に置かれたら、という恐怖と、それでも闘い続けた勇気が伝わってくる。気軽に読める本ではないけれど、本当に読んでよかった一冊です。
最近登録された他の本の感想
2026年09月29日
期待値が高かっただけに、ちょっと残念だった。『三日間の幸福』の著者ということで手に取ったんだけど、今回は設定の面白さに比べて、物語の展開が少し退屈に感じてしまいました。 架空の記憶と実在しないはずの人物との出会い——このコンセプト自体は本当に惹かれるんです。エンジニアとして、存在と記憶の問題には特に興味があるし。でも実際に読んでみると、その設定の可能性をうまく活かしきれていないような印象を受けました。 恋の物語として読むにしては、登場人物たちの心情描写がもう少し丁寧だったら良かったなと思います。短編集だからテンポを重視したんでしょうけど、読んでいて心がつかまれる瞬間があまりなくて。後半になっても、ああそう来たか、という納得はできても、心が揺さぶられる感覚には至りませんでした。 気軽に読む分には良い作品なんでしょうけど、著者の他の作品と比べると何かが足りない気がしてならないんです。もったいないなあと感じた一冊でした。
2026年09月24日
本屋大賞受賞作ということで期待を込めて読み始めたんですが、正直なところ心に響き切らなかったというのが実感です。 弟の死から立ち直ろうとする薫子と、家事代行サービスを通じた人間関係の再構築という軸は良いテーマだと思うんです。でも、登場人物たちのキャラクターがどうも薄く感じられて、そこまで感情移入できませんでした。特にせつなというキャラが、後半になって急に秘密が明かされるんですが、もっと早い段階から彼女の複雑さが見えていれば、もっと引き込まれたんじゃないかな。 「料理は愛情表現」という設定は素敵だし、細かい日常の風景描写も悪くないんですけど、全体的に話が散漫で進みが遅い印象を受けました。話題作ということもあって高い期待値を持って読んだからかもしれませんが、個人的には少し肩透かしを食らった感じ。 気軽に読める作品ではあるので、そういった読書を求めている人には合うのかもしれません。ただ、私のような読み込みたいタイプには、もう少し深みが欲しかったですね。
2026年09月15日
シリーズ4巻目ということで、正直どこまで面白さが続くか心配していたんですが、全然大丈夫でした。むしろこのタイミングでの新キャラ・アリアの登場が最高でしたね。 ジュスタンのお兄ちゃん力が遺憾なく発揮されるこの巻、生意気で図太い少女を相手にした試行錯誤のやり取りが本当に楽しい。エンジニアの私にとっては、アリアの魔導具開発の才能という設定も親近感が湧きます。才能と性格が別の問題って、創作の世界でも現実でも共通テーマですよね。 何度もくすっと笑わせられるコメディセンスはそのままに、ストーリーは着実に進展していて。悪役救済という根底のテーマもぶれていないし、キャラクター同士の絡みの温かさが相変わらず素敵です。 気軽に読める爽快感がありながらも、ちゃんと物語として成立しているバランス感覚。ライトノベル的な楽しさを求めている時の最適解って感じで、シリーズを追い続ける価値を改めて感じました。次巻も即座に読みたいです。
2026年09月14日
通勤の電車で一気読みしてしまいました。爽香シリーズの最新刊、期待以上の面白さです。 演劇祭の中止という身近な舞台から始まるのに、温泉街での謎めいた事件へと物語が転がっていく流れが本当に上手い。登場人物たちの欲望と思惑が絡み合う様が、コードを書いてバグを追う感覚に似ていて、なんだか職業病的に引き込まれてしまいました(笑)。 何より良かったのは、爽香というキャラクターの深みです。シリーズを通じて年を重ねていくという設定、実は結構珍しいと思うんですよ。読者と一緒に成長していく主人公だから、年を重ねた今の私でも応援したくなるし、共感できる。人生経験が増えるごとに複雑になっていく事件の背景も、逆に爽香の判断力で解きほぐされていく快感がある。 文庫本のコンパクトさも相まって、気軽に読みながらも手に汗握る緊張感が保たれていて。仕事が忙しい時期だからこそ、こういった良質なエンタメって本当に救われます。次巻が出たら確実に買いますね。
2026年08月29日
映画化決定ということで手に取ってみました。ベトナム戦争という歴史的背景を扱いながら、一人の兵士の視点から「戦争とは何か」を問い直す作品ですね。 著者がストレートに、時には痛烈に戦争の本質を語る姿勢は好感が持てます。貧困と人種差別から抜け出すために選んだ道が、別の種類の絶望につながっていくという構図も考えさせられました。特に訓練を通じて人間の倫理観がどう変化していくのか、その過程を具体的に描いている部分は印象的でした。 ただ、正直なところ、読んでいて引き込まれる何かが少し足りなかったような気がします。重要なテーマを扱った本だからこそ、もっと物語性があるとか、より深い人間ドラマがあるとか、そういった要素があればさらに良かったかもしれません。 エンジニアとしては、複雑な事象を論理的に分析する著者のアプローチは理解しやすかったのですが、同時に少し距離感を感じてしまったのも事実。映画版では、この物語がどう表現されるのか興味があります。
2026年08月25日
シリーズの3巻目ということで、続きが気になって手に取りました。前巻からの流れを引き継ぎながら、主人公が指揮官として初めて大きな任務に挑むという展開は盛り上がりがあります。 ただ正直なところ、期待していた以上の驚きや深さを感じられませんでした。戦略的な思考や部隊運営といった実務的な側面は丁寧に描かれていますが、どうしても進み方が一本道というか、予測の範囲内で収まってしまった印象があります。エンジニアとして職業柄か、論理的な構成には納得できるのですが、それがそのまま物語の予測可能性にもなってしまっているのかもしれません。 後半の「一寸先の思わぬ事態」というのは確かに存在するのですが、そこへ至るまでの過程がもう少し複雑に絡み合っていても良かったかなと思います。シリーズとしては無難に続いていく作品という感じ。次巻があれば読むと思いますが、今のところ強く推したいほどの傑作ではないですね。気軽に続きが読みたい人向けといったところでしょうか。
2026年08月19日
シリーズ第一巻から美津と暁の関係性にはまっていたので、二巻も一気読みしてしまいました。江戸時代という舞台設定が素敵で、医と刀という異なる道を歩む二人のキャラクターがすごく立ってるんです。 何度も挫折しそうになりながらも、自分たちの道を歩もうとする姿勢が本当に素敵。特に、女性であることの困難さを描きながらも、それに立ち向かう強さが描かれているところが、現代に生きる自分にもしみじみ響きました。エンジニアの職場でも似たような葛藤ってありますからね。 今巻では疫病という新しい要素が加わって、物語がより複雑に、奥行き深くなった印象です。二人の関係性もじわじわ変化していく過程が丁寧に書かれていて、引き込まれっぱなしでした。歴史冒険小説としても読み応えがあるし、人間ドラマとしても秀逸。続きが気になって仕方ありません。気軽に楽しめつつ、深い余韻も残る。こういう作品大好きです。
2026年08月17日
クイズ番組の決勝で、まだ問題が読まれていないのに正解してしまう男がいる—この設定だけで一気に惹き込まれました。 実は、プログラミングやロジックの面白さに引かれる職業柄なのか、この「なぜ?」という問いへの向き合い方がたまりません。著者が丁寧に謎を積み重ねていって、最後にズバッと解き明かす快感。エンタメ小説としてこれ以上ないくらい完成度が高いです。 気軽に読める雰囲気を持ちながら、実は綿密に計算された構成になっているところが秀逸。何気ない会話やシーン一つ一つが後で活きてくる感じ、好きです。文庫化に伴って収録された「僕のクイズ」という短編も、本編をより深く味わわせてくれます。 日常の疲れた時間に「ああ、こんなの読みたかった」という気持ちを満たしてくれる一冊。推理作家協会賞受賞も納得の傑作です。もう一度読み返したくなる面白さですよ。
2026年08月10日
仕事で橋梁設計に携わることになったので、新しい基準を学ぶために手に取りました。ただ、正直なところ期待と現実のギャップがありました。 技術書としての役割は果たしているんでしょうけど、とにかく読みづらい。専門用語が詰め込まれているのは仕方ないとして、図表の質がいまひとつ。複雑な計算式や基準値が列挙されているだけで、実務での活用シーンを想定した説明がもう少し欲しかったです。 改訂版ということで期待していたんですが、前版からの変更点が明確にハイライトされていないのが困りますね。何が新しくなったのか、何が廃止されたのか、ざっと把握するのに時間がかかりました。エンジニアの立場からすると、こういう参照性の良さって実用書として結構重要だと思うんです。 もちろん、この手の公式基準書に娯楽性を求めるのは筋違いなんでしょう。ただ、実務に必要な人たちがもう少し効率的に必要な情報にアクセスできる構成になっていれば、もっと良かったなと感じました。仕事道具として活用していきますが、もやもや感は残ります。
2026年08月07日
話題になっていたので気軽に手に取ったんですが、一気読みしてしまいました。エンジニアの仕事をしていると、どうしても論理的思考に偏りがちなんですけど、この作品はそういう日常を忘れさせてくれるくらいの没入感がありますね。 秘密の日記という設定だけで既に心を掴まれるんですが、主人公たちの関係性の描き方が本当に秀逸。二人の視点から同じ出来事が違う風に見えるという構成も面白くて、読み進めるたびに「あ、そっか」という小さな驚きが積み重なります。 何より印象的だったのは、限られた時間の中で二人が関係を深めていく過程。派手な展開があるわけじゃないのに、ページをめくる手が止まりません。後半、伏線が回収される場面では思わず涙ぐんでしまいました。デビュー作とは思えないくらい完成度が高い。 日常の忙しさに追われている時こそ、こういう作品に出会えるのって幸運だなって感じます。多くの人に愛される理由がよく分かりました。
ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し
読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。
タイトル
読書状況
評価
感想
ネタバレを表示しますか?
この感想には物語の内容に関するネタバレが含まれている可能性があります。
ブクマとは
読んだ本を、かんたんに記録できる
読書管理サービスです。
あなただけの本棚をつくる
気になる本を検索して簡単登録。絞り込みや並び替え、削除も簡単です。
ブックリストで分類・整理
「お気に入り」「気になる本」など、自由にブックリストを作成できます。
感想・評価・メモを残す
読んだときの気持ちや、心に残った言葉を自由に記録できます。
共有と発見の楽しみ
他のユーザーの本棚や感想から、新しい一冊に出会えます。
読書体験をシェア
自分の本の感想やブックリストをSNSでシェアすることもできます。
ブクログから本棚を移行
これまでブクログで管理していた読書記録を、ブクマへインポートできます。