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パラレルワールド・ラブストーリー

パラレルワールド・ラブストーリー

東野 圭吾 講談社 1998年3月1日

感想

パラレルワールドという設定は確かに興味深い。恋愛とSFの要素を組み合わせた作品として、どんな展開になるのか期待して手に取ってみました。 実際に読んでみると、設定の面白さに比べて、物語の深掘りがやや浅い印象を受けました。二つの世界での記憶の葛藤という核となるテーマは悪くないのですが、心理描写がもう少し丁寧だと、登場人物たちの揺らぎがより説得力を持ったのではないでしょうか。 敦賀の嫉妬から始まる混乱状態は共感できる部分もありますが、話が進むにつれて、どちらの世界が「本当」なのかという問いかけがぼやけていく感じがしました。もっと鮮明なテーマ性があれば、短編という形式をより活かせたと思います。 エッセイ的な要素もあるようですが、全体的には中盤以降、勢いが落ち着いてしまった。決して悪い作品ではないのですが、講談社の作品ならではの完成度を期待していた分、可もなく不可もなく、という感じに落ち着いてしまいました。時間があれば読む価値はありますが、特に急いで読む必要はないというのが正直な評価です。

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