文子の本棚
感想

本屋で偶然手に取ったこの一冊。表紙の雰囲気に惹かれて、何の気なしに読み始めたのですが、もう一気読みでした。 架空の記憶と現実が交錯する、ちょっと不思議な世界観。主人公の千尋くんが、存在しないはずの幼馴染・灯花ちゃんと出会うところから始まる物語なのですが、この設定だけでぐいっと心をつかまれてしまいました。ページをめくるたびに「これ、どうなるの?」って気になって、気がつけば時間が経っていましたね。 何より素敵だなと感じたのは、二人の関係性の描き方です。戸惑いながらも引き寄せられていく様子が、本当に丁寧に書かれている。若い頃の恋愛を思い出させてくれるような、切なくて温かい感じが心に残ります。 著者さんの他の作品も読んだことがあるのですが、この作品も期待を裏切らない素敵な仕上がり。文庫版になったおかげで、手軽に楽しめたのも嬉しい。年を重ねても、こういう優しい物語はいいですね。心がホッとします。

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